今年の夏は今までで一番暑い、と何処かのメディアで言われていたがそれは事実なようで。うだるような暑さが続く日々となった。これでは勉強どころではない。とゆうかそもそも何が悲しくて誕生日に態々勉強しに学校まで来なければいけないんだ、3年生だからって理由で補習を受ける意味…解らん。

『あー、帰りたい』

「同感」

『うえ!?…あ、幸村』

「やあみょうじ。やっぱり君も帰りたいのかい?」

『そりゃあね。今日誕生日だし』

「フフ、知ってる」

『でしょうね。嫌味?』

「さあ?」

『ムカつくわー。ところで幸村は何で残ってるの?珍しい』

「うん、帰ろうと思ったんだけど誰かさんが頭を悩ませてるみたいだったから」

『それってもしかしなくても私か』

「ご名答」

くすり、と目の前で笑う彼はとても綺麗だ。女の私が羨む程に。狡い。ってそんな事思ってる場合じゃなくて、解ってるなら早く幸村に教えてもらって一刻も早く帰りたい。

『ねえ幸村、解ってるなら教えてよ』

「どうしようかなぁ」

『え、』

「冗談だよ。教えてあげる。でもその代わりこのあとの時間、俺に頂戴?」

『つまり?』

「鈍いなぁ。つまりデートしようって事」

『は!?私が幸村と!?』

「うん。嫌なら別にいいけど。教えないだけだし」

『ええー。その条件呑むから教えて!』

「解った」

全く、調子の良い奴だ。まあそれは私もだし、正直幸村と出掛けられるとか嬉しかったりする。これでも好きなのだ。幸村が。でも幾ら仲が良くても自分の誕生日に一緒に居てほしいだなんて言える訳もなく。だからこのチャンスは嬉しかったりするのだ。

そんな事を考えながらもしっかり丁寧に解らない問題を教えてもらい無事、終わる事が出来たなまえは幸村との約束通り帰り道、寄り道していた。所謂制服デートである。

『暑ーい』

「まあ、夏だからね」

『何でそんな余裕そうなの…』

「俺、運動部だから。これぐらいじゃへばったりしないよ。示しつかなくなっちゃう」

『成る程ね。それで?誘ったんだから何か提案あるんでしょ?』

「んー、近くにお気に入りのカフェがあるんだ。雰囲気も落ち着いてるしそこへ行かないかい?」

『涼めるなら何処でも!』

外へ出れば瞬く間に体温は上昇して。話すのも億劫になる程である。故に彼女は彼がお薦めだと言うカフェの提案を二つ返事で了承した。
カフェに入れば人はそこそこ居るものの、ファーストフード店などとは違いとても静かで、彼女は新鮮な気持ちに心踊らせた。暫く話していればその店のマスターなのか、愛想の良い笑顔で近づいてきたと思えばケーキを差し出して。恐らく理由を知っているであろう目の前で笑う彼とケーキを交互に見やり、彼女は驚いている。

「ふふ、相変わらず面白い反応だよね」

『いや、驚くでしょ普通。これ、何?』

「ケーキだよ?見て解らないの?馬鹿?」

『解るわ!そうじゃなくて、何でケーキなの?』

「今日がみょうじの誕生日だから」

『え、』

「誕生日おめでとう」

『あり、がとう…!』

「俺からのプレゼント。食べなよ」

『うん、いただきます!』

「言っておくけど俺は好きでもない子にこんな事しないからね」

ニコリ、と優しい笑みを浮かべサラリと話した幸村に言葉を投げ掛ける前にガシャン、と持ったフォークを落としてしまった。涼しいと思っていたはずのカフェは何故だか暑く感じて。でも多分それは気のせいなんかじゃなくて。それはきっと幸村のせいで。私だけ照れるのが何だか悔しくてお返しに私も好きじゃなきゃ誘いに乗ったりしないよ、って答えれば彼も少しだけ顔が赤くなっていた。

「こんなに暑いのはきっと君のい」
君と居ると何時だってそうなんだ。

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猫飯様、おめでとうございます!
今回は敢えて微妙な距離感の二人
で書かせていただきましたー!!
青春を表せていたらいいな、と←

Happy birthday 15/8/1
お持ち帰りは猫飯様のみ。


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