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ふたりだけ

様々なアイドルグループが溢れるこの時代に、一見それらしからぬ名前のユニットがいた。右目と梟雄。バサラと呼ばれる芸能界最大手のアイドル事務所に所属する片倉小十郎と松永久秀の二人のことである。

若手のアイドルが台頭し、伊達政宗や真田幸村といった人気アイドルが若い女性たちを虜にする中、小十郎と久秀は彼らと張り合えるほどの体力と、歌声。そして若い世代には無い大人の色気を武器にして若い女性から、はたまた中年の女性まで虜にしてしまうアイドルなのだ。

彼らの輝かしい舞台の裏で、人知れず二人のために奔走する男がいた。二人のマネージャーの宮野創痍。彼らがデビューした当時、創痍も事務所に入社し、彼らのマネージャーとして何年も付き添ってきた。創痍のマネージャーとしての能力は非常に優れており、彼を欲しがる事務所や芸能人も後を絶たなかった。しかし、創痍は断固としてそれを拒否し、小十郎と久秀の為に尽くす、と言っている。

小十郎と久秀も、言わずとも創痍と同じ気持ちであった。



*


「創痍・・・・・」
「ん、どーした?久秀」

創痍の借りているマンションの一室。創痍と久秀はそこで密会をしていた。
創痍と久秀は恋人同士であった。二人の間には様々な障害があったが、それも二人は全て乗り越え、こうしてさまざまな目を掻い潜り、月に数度だけ、甘いひと時を過ごしていた。

ボルドーのソファに二人はより添って座り、久秀は自らが載る雑誌を片手に創痍の名前を呼ぶ。創痍はやわらかい笑みを浮かべ、久秀の髪を撫でる。くすぐったそうに身をよじる久秀の顔にも自然と笑みが浮かぶ。二人のこのような表情は仕事の上ではほとんど見られることはなく、普段の二人の様子を知る者たちが見てしまえばきっと驚きを隠せないだろう。

「もう少し仕事を減らしてくれないかね、卿と過ごす時間がもっと欲しいのだよ」
「はは・・・・俺もそーしたいトコだけどなぁ、」

久秀の要求をはぐらかすように、創痍は目を伏せて久秀の肩を抱く。

「ふむ、そう言うと思っていたよ」
「ごめんな、その代わり二人のときは久秀の言うことなんでも聞いてあげる」

仕事関係は無し、と創痍は言って。


「 創痍、」

返事をするよりも前に、久秀が創痍の唇を奪った。創痍は一瞬、目を見開いたがその後すぐに久秀の背に左手を回した。右手は久秀の顎に添え、深く口づける。苦しくなったところで久秀から離れていった。息がかかるような距離で、額を合わせて。

「離れるな」

鋭い目で創痍に射抜かれる。久秀はどきりとした。創痍の眼鏡を久秀は取って、再び創痍に口づける。眼鏡は近くにあったテーブルに置いて。雑誌は当の昔に床に落ちていた。

「ん、は・・・ぁ、あ、 っ」
「久秀・・・、」

そっと腰を引き寄せて、そのまま久秀をソファの上に押し倒して馬乗りになった。

「たしか明日の夜収録だっけな、」
「気にするなっ・・・・創痍、はやく・・!」

切羽詰まった久秀の表情に創痍はたまらない愛しさを感じた。


「動けなくなっても知らないからな」


その先のことは言うまでもない。





ふたりだけ



おわり

*寸止めです!申し訳ありません!
まっつん大好きさまからのリクエストで某動画からインスピレーションを受けてのマネージャー×歌手でした。
小十郎さんとの絡みが・・・ない・・・・!すいません;;二人書くのが楽しすぎました。
大人のいちゃらぶって難しいですね;;)