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かわいいひと

創痍は久秀の小姓の中でもとびぬけて美しかった。中性的な顔立ち、すらりとした手足は女性でさえ見惚れるような姿である。そしてどこか不思議な雰囲気を漂わせる創痍は久秀のお気に入りでもあった。そのせいで創痍は他の小姓から妬まれ、度々嫌がらせを受けていることを久秀は知っていたが、創痍本人はこれといって気にもせず、また久秀も他の小姓を咎めることはしなかった。

久秀が不満なのは、創痍が理性を失った姿を見せたことがないことである。夜伽のときも彼は淡泊で、多少の表情の変化を見せるものの、特に取り乱すということがなかった。久秀はそれが面白くなかった。

ふと閃いたのは、創痍に媚薬を飲ませてしまえばいい、ということ。名案だ、と久秀はひとりほくそ笑む。創痍に酌の相手をしろ、と言って自室に呼び寄せた。

その晩、創痍は久秀の自室にやってきて、淡々と晩酌の相手をした。梅雨に入り部屋もじめじめと蒸し暑い。襖を少し開いて風を通す。ぬるい風が二人の頬をかすった。

「どうだ、卿も飲むと良い」

久秀が御猪口を創痍に差し出す。創痍は驚いたようで、少し目を見開き首を横に振った。

「滅相もございません」
「何、遠慮するな。褒美だよ」

久秀は面白くない。酒には媚薬が混ぜてある。これを創痍が飲まなければ意味がないのだ。頑なに拒む創痍を見て久秀はため息をついた。すると創痍がおずおずと久秀に声をかける。

「そ、それでは一口 」

久秀はその言葉を聞いて笑みを浮かべた。創痍に御猪口を差し出すと恭しく受け取り、口をつけた。一口だけ飲むと、創痍は御猪口を置いた。

「私は酒が強くないので、」
「ほう、意外だな。滅法強いほうだと思っていたよ」

すぐに薬が効いてくる。久秀はその時を待ったが、いつまでたっても創痍の様子に変化は見られなかった。おかしい、薬が効いていないのか、と久秀は眉をひそめて創痍が口をつけたわずかに酒の残る御猪口をとると、残りをすべて飲み干した。

「松永様!」

創痍が静止の声をあげたのはそれと同時のことであった。御猪口から口を放した途端、久秀は異変に気付く。強い酒を飲んだあとのように、身体がかっと熱くなった。御猪口は久秀の手から滑り落ち、畳の上に転がった。媚薬は間違いなくこれに入っていた。

「 っ・・・・、」

だんだん身体の中心に熱が集まってくる。強制的に発情させられたようだった。久秀は自らの失敗を情けない、と心の中で責め、ぜいぜいと荒い息を吐いた。どうして創痍はこんなに平然としているのか分からなかった。

「 ・・・創痍、 」

久秀は創痍の着物の胸倉を掴むと力任せに引き寄せて接吻をした。創痍は戸惑っていたが、久秀が無理矢理創痍の口内に舌をねじ込むと久秀の背に手を回した。自分が乱れていてはどうにもならないではないか、と久秀は恨めしく思ったが、この熱を収めるためにはこうする方法しかなかった。

「松永様・・」

口を離すと唾液が引いた。久秀は創痍の表情を確かめる余裕すらなく、創痍を押し倒すとその上に乗った。久秀は創痍の着物を脱がせながら首筋や鎖骨に唇を落とした。ねっとりと創痍の肌に舌を滑らせ、時折吸い付いたりする。

「 は、 っ・・ う、」

短い周期で繰り返される創痍の息遣いを久秀は聞き、珍しく創痍が興奮していることに気が付いた。しかし、本来の目的である創痍の取り乱した姿を見る、ということよりも、自らの熱を早く収めたかった。自身を着物の上から創痍に擦り付けながら、着流しを脱ぐと自らの半身もさらした。

「舐めろ、」
「・・っ、はい」

創痍は上半身を起こすと久秀の首筋に唇を落とした。久秀の腰に手を回して、彼が逃げられないようにしてだんだんと舌を移動させる。乳頭を舌でぐりぐりと押さえつけると久秀は身をよじった。

「んぁあッ、!は、 っ・・・ん、!」

創痍は幼子のように夢中で久秀の胸に吸い付き、空いた手でもう片方の乳首をいじった。

「創痍、 ひぁ、は、ッ・・・」
「 松永様、 ・・可愛らしい、 」

扇情的な表情で創痍が下から上目遣いに久秀を見上げる。目が合うとどきりとした。すでに下はぐずぐずで、久秀は創痍の手を自らの股間に導いた。触れ、と言うと創痍は『はい、』と短い返事だけをした。

「失礼します、」

創痍は久秀の体をそっと押し倒した。焦ったように久秀の着流しを脱がせて裸にしてしまう。薬のせいでひどく赤黒く勃ちあがった久秀の性器を口に含むと喉奥まで咥えこんでじゅう、と思い切り吸い上げた。

「ひぁあああッ!」

逃がすものか、と創痍は久秀の足を押さえつけて口淫を続ける。じゅるじゅると音をたてるたびに久秀は羞恥に襲われた。びくびくと創痍の口内で震えたかと思うと、精液を吐き出した。創痍は顔をしかめてそれを飲み干す。しかし久秀のモノはいまだ硬度を保ったままだった。

「創痍、 創痍、もう良いっ・・・欲しい、」

創痍が顔をあげると久秀は涙目でそうねだった。久秀が足を創痍の股間に当てて少し力を込めて抑える。硬い感触が伝わった。

「   全く、本当に可愛らしいお人だ、」

創痍が着物を脱ぐと間髪入れずに久秀の中に挿入した。薬の効果で中は少しほぐれていると言えども、一気に質量の大きいものが久秀を貫き、痛みに久秀は声をあげた。

「、ぁああぁ!」
「っ・・・、」

全てを中におさめて創痍は深く息を吐いた。

「 少し、我慢してください、」
「!」

そう言うと創痍は力任せに動いた。久秀はきゅっと目を閉じて、その律動に耐える。

「創痍、 ・・・創痍」

久秀は泣きそうになりながら創痍の背に手を回した。すると『松永様』と、自分を呼ぶ創痍の声が聞こえて余計に涙腺が緩んだ。

「 、!ぁ、 っひッ・・・! 」
「っ・・・!」

途端に快感の波が襲ってきた。ごり、と音がしそうなほどに中を擦りあげられて腰が跳ねる。創痍は久秀の上擦った声を聞くと今までに以上に激しく腰を動かした。

「んは、ぁあッ!あ、 んぁあ、あッ、」
「松永様・・・ッ、」
「創痍、 中に・・・ッ、 」

久秀が足を創痍の腰に回して、がっちりと身体を固定した。慌てる創痍をよそに久秀は創痍の体を思い切り抱きしめる。二人が果てるのはほぼ同時だった。


*


「・・・・そういえば、卿はなぜ平然としているのだね」

言わなくても分かるだろう、と久秀は言った。自分の乱れぷりを見れば薬を混ぜたことくらい分かるはずである。

「何か入っていることには気づきました・・、ただ」
「ただ?」
「松永様の前でお見苦しい姿を見せるわけにはいかないと、耐えまして」
「・・・・、 そうかね」

久秀は再び深いため息をついた。創痍は理由を分かっているのか、分かっていないのか、慌てた声色で『申し訳ありません』と言った。久秀はふっと笑い、創痍を引き寄せると再び接吻をした。


かわいいひと



おわり

紺乃さまのリクエストで小姓×松永さんで媚薬プレイでした。
異常に長くなってしまいました(^o^)
だいしゅきホールドは正義。
お持ち帰りなどは紺乃さまのみ可能です!リクエストありがとうございました!