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みんな好きだからそれでいいじゃない!

「さて、皆さんにここに集まってもらったのは言うまでもありません・・」

婆裟羅屋の店主の手伝いで働いている店員、宮野創痍。店を訪れる様々な戦国武将と面識があり、その人当たりの良さと、美しい容貌からどの戦国武将からも好かれている男である。あの凶王の滅多に見られない照れた顔や、風魔の素顔を見たという話もある。それほど、どんな人間からも心を許されている人間なのだ。
しかし、宮野の本性というものは、普段の様子からはまったく想像できないようなものである。

「田中君!まったく君は吾輩を羽州から呼び寄せるとは何を考えているのかね?玄米茶と菓子の一つや二つの用意はもちろんできているのだろう!?」
「私の名前は宮野です最上様、いい加減覚えて頂きたい・・私はこんなに最上様のことを好いているのに」

うっとりとした表情で宮野は自分の目下にいる最上を見た。その表情に思わず最上は後ずさる。自分が警戒されていることに気付いているのか、気づいていないのか。宮野は今度は最上の後ろにいる二人に視線をやった。

「松永様も、立花様も・・・こんな所まで来ていただいて有難い・・!」
「ふむ、私は好んで卿に会いに来ているわけではないよ。文に"上等な茶器を用意して待っている"と書いてあったからね」
「ああ松永様・・・!素直ではないところも素敵です・・・!」

宮野は久秀の足元に膝まずき、彼の手をそっと握り接吻をする。久秀は思わず手を引いた。宮野はさぞかし残念そうに離れた久秀の手を見る。

「まあそんなところも好きなんですけれど・・・立花様、お久しぶりですね!」
「は、はぁ・・・・」

(だって返事を返さなかったら文は何通も送られてくるし、中身は、わ、儂に対する愛の言葉がつらつらと並べてあって宗麟様や奥に見られてしまえば一体どうなるのか分かったものではないしたまに脅しのような言葉も書いてあって最悪の事態を引き起こす前に宮野殿に会いに来てしまえと思って来たのであって・・・・!)

「立花様・・・?」
「はっ・・・!どうされたのですか宮野殿!」
「いえ・・・他の御二方と違って私に素直なところが可愛らしいと思って・・!好きですよ、立花様・・」

(素直じゃなくて本当の気持ちが言えないだけなのに・・!)

思わず表情が固まる立花。その手はいつのまにか宮野がに握られていた。しかし、その宮野の言葉を聞いた瞬間に松永と最上の表情が変わった。

「立田君!君はそうやって純粋なふりをしているだけだろう?!油断も隙もないね!」
「はっ・・・?!はぁ・・・?」

(何を言ってるんだこの人は!さっきまであんなに嫌そうな顔をしていたのに・・しかも儂の名前は立田じゃなくて立花・・・)

「はて・・卿の宝は何だったかな、今すぐ壊してしまおうではないか」
「何を言っておられるのですか・・・!」

(や、やめてええええ!)


「お止め下さい!御三方」


「!」


宮野の声に三人の動きがぴたりと止まる。

「私の為に争うのは!」

「別に卿のためではない」
「君のためではないよ!」
「・・・(胃が痛い)」

この流れで分かったと思われるが、宮野は"男色家の、しかも老け専"なのである。そしてかなりの好色家。普段はほとんどの人間は気づいていないが、宮野に"好かれてしまった"この三人だけは彼の本性を知っている。宮野にとってはどんなに美しく若い女も、若い男も全くもって興味の対象外なのである。そして本人が無自覚なまま誰にでも愛想を振りまく、非常に性質の悪い人物なのだ。
しかし、それでも好かれているのは彼の魅力というか、なんというか。

「今日は御三方で私の"はあれむ"つまり楽園を作ろうと考え集まっていただいたのです・・・・!」

「・・・・」

こぶしを握りしめ、まるで演説をするかのように彼の楽園がいかなるものかを熱弁する宮野。すると、松永は十束剣を取り出し、最上は指揮刀を構え、立花は雷切を構えた。


「あれ・・・?御三方ともどうし」

「爆ぜろ」
「飛んでいきたまえ!」
「御免・・!」


みんな好きだからそれでいいじゃない!
(婆裟羅屋崩壊のたましばし休業致します)



*おわり

匿名様のリクエストで「松永さん、最上さん、立花さんの三人でハーレムを企む主人公」でした。
松永さんも最上さんもツンデレで、立花さんは通常運転。
主人公はみんな好きですが、松永さんと最上さんはツンツンツンデレで主人公のことはちょっと気になる、立花さんは正直主人公のことは苦手っていう感じを意識してみました。
gdgd感が否めないです;すいません・・・!
お持ち帰りなどは匿名様のみ可能です。リクエストありがとうございました!