あけましておめでとう

今年も、よろしく


【幸せは君と(2011.1.1)(Ca)】





「創造主(クリエイター)」なんてものを倒して、紆余曲折を経た長い、長い旅は終わりを告げた。

……離れて十数年。
一人の少年が、十分に成長するだけの時間。
遠く離れている間に、薄れるのでは無いかと懸念していた気持ちは、色褪せる事なくその胸内に留まっていてくれた。

「……シェイ」

さらさらとした絹糸の様な髪を梳き、寝顔をそっと眺める。
過ぎた年月を感じさせない、あの頃と変わらない、あどけない寝顔にふと笑みが漏れた。

「…シェイ」
「……ん」

呼び掛けて瞼に口付けを落とす。むずがる様に身を軽くよじった後うっすらと開いた紫水晶の瞳と視線が絡まる。

「おはよう」
「ん……おは……よ…」

欠伸まじりに呟かれ、俺は苦笑する。確かに昨晩遅くまで起きてはいたが、…そんなに激しかったか?と寝転がっているシェイの耳元で呟けば、彼女の頬は瞬時に真っ赤に染まった。

「かわいいな、そういうところも」
「カイン!」

言われ慣れない言葉に驚いた表情でシェイはベッドから飛び起きた。

「! きゃっ」

身を起こした勢いで掛布がずり落ち、無数の紅い花の咲く白い素肌となだらかな曲線を描く双丘が露わになる。慌てた様子で掛布を手繰り寄せて胸を隠し、耳まで真っ赤に染め上げて、恥ずかしいやら困ったやらと言った上目使いで俺を見る姿は酷くいじらしく、そして欲情を誘う。

「逆効果だぞ」
「え?」

わけがわからないと呆然としているシェイの手から掛布を奪いとり、彼女の上半身を差し込む陽光の下にさらけ出す。

「や、ぁ」

熟れたリンゴの如く赤く染まった頬、両腕を交差させて必死に隠す姿。無自覚にも程がある。もう、俺は限界だった。

「シェイ…お前が欲しいな」
「やだ、まだ朝だ…っん!」

煩い事を漏らす口は唇で塞いでしまって、俺はシェイをもう一度ベッドへと優しく押し倒す。

「はっ…ちょ、ぁ、カイン〜」

知らず知らずに潤んだ瞳、淡く桃色に染まる肌。全身が俺を誘う癖に、その口だけが甘い声音で否定を語る。

「姫始め、させてくれてもいいだろう?」

その為にセシルから休みもぎ取ってきたんだから。と耳元で囁いて首筋を舐めあげれば、酷く悔しそうに俺を見る。

「夜でもっ!」
「シェイが可愛いから悪い」
「なん、っやぁ」

愛してるよ、俺の奥さん。そう耳元で囁けば、抵抗を止め拗ねた表情でシェイはずるい、と小さく呟いた。





挙式も内輪祝いも何もせず、本当に紙切れ一枚だけで済ませてしまったけれど、有り余るくらいお前を愛してやる。と彼女にだけ宣言したのは、まだそう遠くない日。
離れている間に溜まった心の渇きは、まだ満たされる事なくシェイを欲している。

「愛してる、シェイ」
「私も、…愛してるよ、カイン」

飢えた俺の瞳に、諦めたのか妥協したのかわからないが抵抗を止めた彼女に口付けを贈り、細い肩を抱き寄せ胸元に顔をうずめる。

まだまだ一年は始まったばかり。
これからも末永くよろしく頼むよ、俺の愛しい――シェイ。





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あけましておめでとうございます。
今年は時間がなか……げふんっ。
なにはともあれ年賀状ではなく、小説となりました。
らぶらぶな二人が書きたかった為に本編もTAも飛び越えてTA後というお話になりましたが…お気に召していただければ幸いです。
2011.1.1 風見星 作






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