がちゃんと重い鉄製の扉を開けるとひどく怯えた表情でぼろぼろと涙をこぼし続ける彼女が居て、僕は思わずその華奢な体をつよく抱きしめた。

「っ、や、だ!来ないでっ!」
「大丈夫だよ僕が来たからにはもう君を怖がらせることなんて誰にもさせないから」

錯乱状態の彼女を落ち着かせるように、努めて優しい声音を作る。

「ごめんね、今まで一人にしてしまって…怖かったよね?」
「わ、私、」
「…お願いだから泣かないで。君を傷つけるものは僕が全部消してあげる」

彼女の声が震えている。僕にとってはそれすらも愛おしくて、気がつけばそれを素直に口に出していた。

「泣いている君も、笑っている君も、どんな君でも僕は愛しくてたまらないよ。でも、出来るなら笑っていてくれるほうが良い」
「ひっ……ぁ…」
「だから、君を守るよ、この世の全てから。僕は、君さえ居てくれれば、他なんてどうでも良いんだから」
「な、なにを言って…」、
「僕は、君のことが好きだよ。心の底から愛してる」
「…そ、んな…嘘…」
「君はこれを聞いたら困ってしまうかもしれない。でもどうしても伝えたくて」
「え…」
「ずっと、ずっとずっとずっといつだって君だけを見てきたんだ。君の事で僕が知らないことなんて何ひとつないよ」
「そんなこと…、」
「冗談なんかじゃない。多分、君の事を考えてる時間は誰にも負けないんじゃないかな」
「やだもう、何言ってるの」
「今まで君の色んな表情を見てきたけど、やっぱり君は笑顔が一番だね」

ふふっ、と彼女が笑う気配。花が咲いた様な笑顔が僕の脳裏に浮かぶ。

「私、ずっと怖くて…でも誰に相談して良いか分からなくて…貴方が居てくれて、本当に助かった」
「そう言ってくれると、僕も嬉しいよ。…それにしても、ストーカーなんて、本当に最低だね」
「うん。…ありがとう」
「僕でよければ、いつでも相談に乗るから。何でも言って」



(おもいあい)

※なんだこいつ気持ち悪い男だな彼女そんな男で良いの?って思った方はこの話を下から読むと意味が分かるかも知れない