ぐだぐだぐだぐだぐだ。
こんなにも暑苦しい日でも、私の目の前の男は相も変わらずぐだぐだと自分の自慢話を続けている。
同じ話をあきもせずに何度も何度も何度も何度も。
全く、この暑さのせいでこの男の脳みそは溶けてしまってるんじゃないかとすら思えてくる。
完全に自分に酔っている人間の自慢話を聞くというのは結構な精神力が必要なわけで、
正直鬱陶しいとしか言いようが無い。
それにしてもこの男は何かほかにすることはないのだろうか。
今現在、私はあまりの暑さに上衣を脱いでタンクトップだけになっていて、
自分で言うのもなんだが思春期の男子にはかなり刺激的な格好をしていると思うし。
ここは意外と人通りが少ない上周りには植え込みなんかあって隠れるにはうってつけだし。
私にそんな趣味は無いけれど、
友達の話では男は屋外というシチュエーションも興奮するらしいし。(全くもって理解できない)
別に積極的になってるわけでもないが、襲うそぶりを見せてみるような気概はないものなのか。

(ないんだろうなぁ……。)

私に聞き流されていることにすら気付かずひたすら自慢話を続ける滝にそんな男らしいものを求めても無駄だろう。
そんなことは付き合い始めた当初から分かりきってはいたものの、それはそれで彼氏としてはどうなんだ。
これだからくのたまの間ではへたれだのなんだの噂されているというのに、それすらも自覚していないだなんて。

(あー……ちょっと悔しいかも。)

自分に女としての魅力的なものが足りないのかもしれない、そう思うと無性にむしゃくしゃしてくる。
そんな私の葛藤をよそに本日15回目となる戦輪トークを始めた滝に、とうとう堪忍袋の緒が切れた。

「ねぇ、滝。」
「ん、どうした? …んむっ!?」

どさっ。
ぐだぐだと小五月蝿い口を私の唇で塞いで地面に押し倒せば、途端に真っ赤になってあたふたと慌てだす。
お前はどこの乙女だ。と心の中で突っ込みを入れつつ、
そんな滝を愛おしくてたまらない私の脳みそも、この暑さで溶け出してしまったに違いない。



(融解、その後融和)(このまま溶け合ってしまえば良い)