「あなたは、いま、しあわせかな」
「これからも、しあわせでいられるかな」
「愛してる。他の誰よりも、あなたがだいすきだよ」
「−−だからね、私のこと、わすれてね」
「それで、生贄なんてわすれて、しあわせに生きて」
「…あなたを、殺させやしない。あなたを、死なせはしない。…あなたを、鬼斬丸なんかにやらない」
「まひろ、真弘、真弘…!しあわせにいきて、笑顔でいて!ずっとずっと、あなたのしあわせを祈ってる…!」


「−−愛してるよ、真弘」

−−ぽちゃん。




−−何かが、消えた。
何かはわからない。でも確かに何かが消えた。
かけがえの無いものな気がする。絶対にわすれてはいけないものだった気がする。
なのに全く思い出せない。
頭の片隅にある違和感。それは確かで、けれどひどく曖昧だ。

わからない。わからない。
どれだけ考えても、少しの欠片も掴めない。
そこにいるはずなのに、そこにあるはずなのに、結界に阻まれているようにその何かに触れられない。

「なんだよ…なんなんだよこれ!」

何より大事なものだったはずなのに、何より大切にしていたもののはずなのに、なのにどれだけ考えてもどれだけ記憶を探っても−−

「何でわかんねぇんだよ…っ!!」

−−きっとそれは、何より大切な もの ひと

だったはずなのに。
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