気分は青天白日



弱まったと思ったらまたザアザアと強い横殴りな雨が外の景色を霞ませる。

「ここのところずっと雨だ」

先ほど廊下でふらふらと仕事をサボりに行こうとしているのを見つけて取り押さえ、やっとのこと仕事場の椅子へ座わった聖徳太子は、一向に筆も持たず、頬杖をついてこぼした。

「そうですね」
「昨日も、一昨日もだ」
「そうですね」
「雨ばっかりはつまらん」
「恵みの雨ですよ、悪いばっかりじゃないでしょう」
「遊びに行けないし、仕事から逃げようと思っても何処にも行けないし」
「なんで遊ぶこと中心なんだよアホ摂政!」
「痛いわ!セクシーダイナマイト爆発摂政様の顔を殴るなんて、…冠位下げてやる…」
「職権濫用で訴えるぞ」



こう何日も雨が続くと何時もより何割増しかイライラする。特にこのアホ爆弾爆発摂政様の相手をすると。
「恵みの雨」なんて言ったけど、ろくに洗濯物も干せないし、じめじめするし、僕だけじゃなく朝廷全体がこの長期の雨にイライラした雰囲気に包まれてる。






「だめだ仕事出来ない、妹子遊びに行こう」
「嫌ですよ、むしろアンタまだ筆もとってないでしょう」
「仕事には適度な息抜きが必要だって馬子さん言ってた気がする!」
「アンタは普段から息抜きしかしてないだろうが!」

怒鳴って無駄な体力使いたくないのに…。全くこの上司は…。
息抜きって言うのは頑張った人間の特権だという事を馬子様から太子に教えておいてもらおう。



雨は一向に弱まったり強まったりを繰り返している。
ザァザァ降る度にイライラが募っていくような気がする。
すきま風は冷たくて、でも室内はじめじめしていて…。こんな雨の日にずっと部屋にこもりっきりで仕事するなんて本当におかしくなりそうだ。筆を持つ手が執拗にふらふら動く。

「妹子、やっぱり息抜きに行こう」
「はぁ!だからアンタは、」

本日二度目の右ストレートをお見舞いしようと固く手を握りしめ、顔を上げると太子は僕の目の前にいて、人差し指で僕の眉間を押した。

「イライラしながら仕事しても進まんぞ」

太子は「眉間にしわー」と言いながら人差し指で僕の頭を弾いた。
一瞬時間が止まったように僕はその場で固まった。
弾かれたその優しい衝撃に嫌なものが全て削ぎ落とされた気がする。
色々なものが削ぎ落とされて行って、少し頭が冷静になる。
今日はイライラし過ぎだった、全部が全部太子の所為でもないのに、少し八つ当たりすぎたかな。



「せっかく2人っきりでの仕事なのに、妹子が嫌な顔してたら私の仕事も進めるものも進まなくなるわい!」

アンタはもとから進める気ないだろ、
と感じた所はあったけれど、今はそんな言葉を返すのはやめておいた。
目を閉じ、静かに息を吸いゆっくりと空気を吐き出し目を開ける。イライラしていたものが冷たい空気の中に消えていった。
いつの間に雨は小降りになっていて、目を開けた時見えた空に少し光が見えた。



「太子、今からこの書物全部目を通して下さい」
「グェェ、休む流れじゃなかったのか…」
「ほんのちょっとですから頑張って下さい
…それが出来た後、晴れてたら散歩にでも行きましょう」
「…………妹子!」

一度外の様子をうかがってから太子は太陽のように輝かしい笑顔を返してきた。
今日初めて使われる事が出来た太子の筆の動きを目で追いながら、つくづく僕は甘いな、と感じてしまう。
もう一度空を見上げる。あの様子なら太子が書物に目を通し終わる頃には晴れるだろう。











気分は青天白日
(心も晴れ上がる)



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最近雨続きなので

寝ぼけながら書いたので
ちょっと話の流れが変



100311







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