?臨 | ナノ


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※捏造義父×臨也
 一応静臨前提です
 暴力強姦バッドエンドな為閲覧注意




ひどく頭を打った。視界がぶれてそのまま床に倒れ込む。
駄目だ、逃げなきゃ、逃げろ、動け、俺の体、

「っぐ、あ゛アア、ぃ、ぎゃああ!」

もだもだしている間に後孔に引き裂かれるような痛みが走る。それは内臓までずん、と届くほどの衝撃で、そのせいでまた前のめりに崩れてしまった。フローリングに爪を立てて踏ん張るが、つるつると滑ってしまって無意味に終わる。

「逃げようとしてんじゃねぇよ」

覆い被さってきた義父の低く息の混じった声は、今まで生きてきた中で一番不快なオトだった。義父の全身から噎せ返るほどに漂うアルコールの臭いが緩く俺を包み込む。
変わらずなかでズルズルと暴れるその熱く汚い棒は、擦られ過ぎて腫れているであろう直腸を掻き分けながら、悲鳴を上げ続ける俺をお構い無しに無遠慮に動かされる。地獄だと思った。

「っ、ろしてやる…っ殺してやる、殺してやる…ッ」

少しでも気を抜けば途切れてしまいそうな危うい意識の最中、呪詛のように吐き出す。義父はそれが不可能だと知っているから軽くあしらう。

「殺せるもんなら殺してみろ」

言葉と同時に湿る胎内。気持ちが悪くて、くらくらした。







俺はアイツを殺せない。
高校生になって、殺すことは未だしも逃げ出すことくらいは確実にできると自覚はしている。
俺は幼い頃に両親を亡くし、親戚中をたらい回しにされた。その度に厄介者がきたという眼差しが痛く突き刺さった。荒んだ毎日の中、義父と名乗る男が突然俺を引き取った。
初めて性行為を強要されたのは暮らし始めてから一ヶ月と経たない頃で、ある条件を出された俺は奴の奴隷になるしか道は無くなったのだ。
抵抗した時に放たれた「お前じゃなくても妹がいる」という台詞が、脳の中で何度もフラッシュのように焚かれる。全身が冷たい湖に沈んでいるかのような感覚に陥って目の前に暗幕が降ろされる。
当時、まだ小さい妹たちは幸運にも人の良い親戚に預かられていて、そのことだけが俺にとって安堵できることだった。だから、逃げたら次は妹だという意味のそれに戦慄した。
故に、今も逃げることは叶わないでいる。
そして殺せない理由には、



「………臨也」

昨晩とはうって変わって、毀れ物を扱うような柔らかい手つきで俺の髪を梳く義父。アルコールが抜けた証拠であった。その優しい体に軽く寄り掛かり目を閉じても、殴られもせずむしろ抱き締め返された。
酒が入っていない義父は優しかった。預かられた当初、その優しさは俺にとって衝撃的で、まんまと陥落し絆されてしまった。殴られても殴られても、まるで見返りを与えるかのように返ってくる、その穏やかな接し方に懐柔され、馬鹿みたいに躊躇って殺せないでいる。
救いようのないくらい愚かで浅はかなのは、きっと俺の方。










「おはよう、臨也」
「……しんら」

下駄箱で靴を脱いでいる友人に声をかける。挨拶は返されなかったが代わりに名前を呼ばれた。向けられた端正な顔には疲労が見え隠れしていて、心なしか脇腹を軽く押さえるような仕草が僅かに目に止まった。

「大丈夫?顔色悪いよ」
「へーき、……先行ってるから」

怯えを孕んだ声を発するや否や、逃げるように去っていく細すぎる後ろ姿をしばらく注視する。
言わせなくとも察することはできた。

「隠れてないで出てきなよ、静雄」
「……ウッセェ」

投げ掛けると背後から渋々と出てきたもう一人の友人だってきっと、薄々は。

「あいつ…」

苦虫を噛み潰したような顔で、僕と同じように臨也に視線を送る彼は、鈍感なくせにわりと勘が良いのだ。天敵の様子がおかしいことくらいずっと前から気づいているはずだ。どうしようもなく焦燥感に駆られているのは、僕だけじゃない。











新羅の探るような目線はひどく俺を突き刺した。顔には傷はついていないのに、医者である彼にはどうしても分かってしまうのだろうか。嫌だな、気付かれたくないな。せめて学校ではいつもの俺でいたいのに、新羅にかける声が嫌にしおらしくなった。
ズキズキ痛む横腹とぐるぐると巡り続ける思考が身体中を蝕んで、気付いた頃にはもう昼休みだった。食欲が湧かず、昼休みになるといつもやって来る新羅たちと会わす顔もない。保健室にでも閉じ籠もろうかと思案したそのとき、

「折原!」

名前を呼ばれ視線をやると担任に険しい顔で手招きされた。ちょうどいい、新羅たちと会わないで済む。そう考えながら後を着いていく。すると、人気の少ない曲がり角で焦ったように告げられた。

「お義父さんが急性アルコール中毒で倒れて非常に危険だそうだ。近くの大きい病院で集中治療中らしいから、すぐに行きなさい」

いつの間に持ってきたのか、既に支度されてある鞄を手渡されて俺はその場に突っ立った。
義父が死ぬ?
今まで俺を散々に虐げてきた義父が、俺の手を汚さずに死んでくれるのか?

「タクシー呼んであるからな!」

そう念を押して急いで職員室へ駆けて行く担任の後ろ姿を見ながら、俺は至極冷静だった。
あんな奴の死に目など見る気も湧かない。ざまあみろ!
そうは思ったが、何故か面白くない、この上なく気に入らない。じっとりと嫌な汗が背を伝う。俺は、




「臨也!」

腕に強い痛みを感じ振り返ると見知った天敵がいた。

「シ、ズちゃん…」
「行くなよ…!」

そのまま前に引かれてバランスを崩し、抱き寄せられたのだと理解する。

「手前、自分が何されてきたか分かってんのか!?そんな奴のとこなんか…」
「っなんのこと…?」
「…ッまだとぼけやがるか!」

畜生、何で察してんだ化物のくせに!
目の前にある厚い胸板を必死で押し返すがびくともしない。同情なんかいらない。胸糞悪いんだよ。くそ、泣くな、泣くな!

「臨也…俺は、お前がっ」
「シズちゃん!!」

シズちゃんの珍しく捲し立てる声が止んだ。いや、止ませた。顔を上げると目の前には鬼気迫ったような面持ちのシズちゃんがいて、その変な表情がおかしくておかげで上手く笑顔を作ることが出来た。

「ありがとう」

行かなきゃ。

一瞬の隙をつき頑丈な腕をすり抜けて走り出す。背後でシズちゃんが大声で何か叫んでいたけど聞こえないフリをした。走って走って、落ちる勢いで階段を降りて学校を跳び出る。門の前で止まっているタクシーに飛び乗って運転手を急かした。
まだ震える体を、鞄ごと自分で抱き締めてシートに寄り掛かる。バックミラーから運転手が見て見ぬ振りをしてくれたのを確認して、病院に着くまで後頭部座席で声を押さえて泣いた。


付きの体









素敵企画様に提出しました
なんか投げやりですがきっとシズちゃんと新羅が助けます

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