?臨 | ナノ


※モブ視点
 エログロ注意
 かなり気持ち悪いので無理な方は全力で逃げて下さい






目玉が綺麗だと思った。
一目惚れだった。彼の眼を見て恋に落ちた。眼に惚れたと言っても過言ではないくらいだ。
赤色、朱色、緋色、紅色。
ルビー、トマト、薔薇、血。
とにかく彼の眼は赤く美しかった。だがそれだけじゃない。今まで一度も染めたことのないであろう艶やかな黒髪や筋の通った鼻、陶器のような白い肌にあちこち細い身体。すべて怖いくらい完璧で、職人が精魂込めて造った人形のように端正だ。とてもこの世のものとは思えなかった。そんな存在に街中で出逢った。彼は楽しそうに眼を輝かせながら、軽い足取りでぴょんぴょんとアスファルトを蹴っていた。反射的にその眼がこちらを向けばいいなと望んだ。叶うわけもなく去っていく彼の背中を見て僕は今までにないくらい興奮していた。
欲しい、と率直に感じた。
鑑賞用にきみを。


思い立ったらすぐに行動していた。自宅に帰ってすぐにパソコンに向かい彼のことを調べた。しかし彼が新宿の有名な情報屋、折原臨也だということしか掴めなかった。それが胸を掻きむしりたくなるくらいにもどかしくてたまらなかった。どうにかして僕のモノにしたい、どんな手段を使ってでも。




「変態」

そこまで話すと折原臨也は一言こう言った。

「俺もよく変な奴に会うけど、君が今のところ一番イカれてるよ」

そう蔑む彼の右足からは大量の血が流れ出て床に血だまりをつくっていた。彼の眼のようだ。


今日、仕事帰りの折原臨也を襲った。裏のルートを渡って入手した拳銃で人通りの少ない道を歩いていた彼を撃った。僕は、彼がすばしっこく反射神経も良いことを知っていたから、右足を狙った。急に一般人から撃たれるなんて思ってもみなかっただろう彼はその場に膝をついてこちらを睨んだ。
正直、勃った。
その眼で睨まれた瞬間、ゾクゾクと快感が爪先から背中まで駆け上がり、血がぐるぐると体内を巡るような感覚を味わった。そこからはもう体が勝手に動いた。立てない彼の腕に無理矢理、脳幹性催眠剤を大量に注射をしてあげた。ただの就眠剤や睡眠剤なんかではない、ぐっすりと熟眠できる速効性のあるものだ。彼の抵抗は激しかったが、そのときは完全に欲望だけが僕の体を突き動かしていた。近くに停めていた、自分のワンボックスカーの後頭部座席に彼を詰め込み、アクセルを踏み切るまでこの間30秒となかっただろう。段々と力を無くし弱っていく彼をバックミラー越しに見ながら車を運転するのは最高に気持ちが良かった。このままどこまでもドライブしたい欲望に駆られたがそういう訳にもいかず、まっすぐに自宅に帰った。
規則正しい寝息をたてる彼を車から下ろし、コートを脱がしてから、部屋の椅子に頑丈に縛り付けた。携帯と物騒なナイフは預かっておいた。そこで彼の傷を思い出す。慌てて見に行った車内と部屋はすでに血だらけだった。まだ右足からは鮮血がひっきりなしに出ている。止血しようと思って近寄った。眠っているため彼の眼の赤はまだ見えない。それがとてつもなく寂しく思い、代わりに今は彼の血の赤を見ていようと思った。蒸せ変えるような血生ぐさい臭いにうっとりしながら、彼の眼の赤が見えるのを待つ。
持続性はない催眠薬だった故にすぐに目を覚ました。宝石のような瞳が僕を捉えて、心底嫌そうに伏せた。たまらない。
うつむいた彼の長い長い上睫毛がルビーの宝石に覆い被さる様子は生唾を飲み込む程のものだった。想像以上に美しい。
それから僕はイザヤへの愛を語ってあげた。
そうして、今に至る。

「ね、それより痛いんだけど」

言われてイザヤの顔を見ると冷や汗をたくさんかいていた。息も少し荒い。右足からの出血は量こそ少なくなっているものの止まる気配は無かった。

「あぁ、ごめんね」

口だけで謝ってからイザヤに近付く。イザヤはまだ余裕があるようで見下すような笑みさえ浮かべている。薄く形の良い唇が緩やかな弧を描く表情は非常にそそられる。
いつでも逃げられる、とでも考えているのだろうか。予想以上に冷静だ、すごくタイプである。そういう奴の余裕を根こそぎ奪ってやりたい。嘲り続ける彼の肩に手を置いて瞳を覗き込んだ。よく見るとただの赤じゃない、濃淡のグラデーションがあり何層にも色素が重なっている。
水晶体、虹彩、瞳孔、角膜、じっくりと観察した後、ほぼ無意識にべろりと眼球を舐めてしまった。

「………ッ!?」

初めて彼の表情に怯えの色が表れた。瞳が揺らいで焦りが滲み出る、しかし馬鹿にしたような冷たい微笑は尚も携えたままだった。

「……何のつもり?」

嫌悪を丸出しに顔をしかめる彼は上目遣いで僕を見て、その目線は徐々に下へ向かった。そしてある一点で止まる。

「…ちょっと、」

たらりと彼のこめかみに冷や汗らしきものが一筋滑った。彼は僕のいきり立ったものを見て、ようやく笑みを消し去った。
その様子に満足したのでベルトを抜き去りスラックスの前をくつろげる。

「おかしい…君狂ってるよ」

眼に自身を近付けると彼はいよいよ声を荒らげ始めた。
でももう遅い。
とにかく僕は彼の眼が好きだ。本当はほじくりだして鑑賞用にしたいところだがその前に。

「一つになろう、イザヤ」
「っふざけるな、離れろ!」

がたり、と椅子が傾くほど体をよじるイザヤ。そんなに暴れたら照準が合わせにくいじゃないか。ずれて変な場所をえぐっても知らないよ。

「やめろ、近づくな!!」

先端を下目蓋の上に乗せた。

「愛してるよ、イザヤ」

そのまま一気に貫いた。
眼球が潰れる音を微かに聞いたような気がした。それは今まで生きてきた中で一番綺麗な音色だった。

「アアああああぁあぁ!!!」









それから数週間後、新宿の情報屋折原臨也が殺されたという噂が街中に拡散した。
何を言ってるんだろうね、まだちゃんと生きているのに。
僕は、薄暗い部屋で両目に包帯を覆い横たわっているイザヤにそう問いかけた。返事は、無かった。


一度やりたかった眼球プレイ
すみませんでした石投げないで下さい

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