Main静臨 | ナノ




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死ね、死ね、とさっきからこいつはそれしか言ってない。多少の呻きに近い喘ぎ声は混じるものの、ちゃんとした言葉はそればっかりだ。さすがにムカつく。

「…臨也くんよおー、それしか言えなくなっちまったのかぁ?」
「うっさい…!死ねっ」

やっとそれ以外の言葉が聞けたと思ったら案の定暴言である。あまりの強情さに苛立ちを抑えきれず、ズルズルと中のものをグラインドをつけながら引き抜き、力任せに奥に叩きつけた。

「ッう、ぅうア゛…!」

引き絞ったような悲鳴を無視して痩せた身体を串刺しに貫く。トイレの壁に無理矢理押し付けて自分勝手に性器を擦り付けていると臨也の前がぐちゃぐちゃになっていることに気付く。なんだよ。

「…んのレイプ魔!死ね!」
「あ゛?誰がレイプ魔だ。手前だって勃起してんじゃねえか」
「っ、勃ってたら合意の上とか思ってんの!?…ありえな…ぃ、あ!ひぐ、んン!」

コイツが饒舌になり始めるとそれはそれでうざい。
というかなんでこんな状況なんだ?さっきまで喧嘩していたこと以外、あまりはっきり覚えていない。まあどうせ喧嘩の延長戦のようなものだ。臨也をトイレまで追い詰めた、それがスイッチだっただけだ。どのみちこういう行為が初めてな訳ではないのだから然程気にすることではないだろう。屋上でだって、保健室でだって、体育館倉庫でだってヤッたし…。……思い返すと全部俺が一方的に襲っていたが、気に留めずすぐに振り払った。

「誰だって、気持ち良いとこガツガツ責められれば、…嫌でも感じるっつーの!」

なんか墓穴を掘っている気がしないでもない臨也の発言を聞いて、腰の動きを止める。
気持ち良いのか、ここが。
さっきまで特に何も考えず責め立てていたそこを改めて乱暴に突き直すと臨也の身体が面白いくらいに跳ね上がった。

「〜〜〜〜ッ!?」

ぐりぐりと柔らかい内壁をしつこく擦り上げながら臨也の顔色を伺うと、はくはくと懸命に息を吸い込んでいる。声も出ていない。死にそうだな、なんて考えているとすぐに臨也の表情がいつもの憎たらしいものに変わる。悔しそうに歯を食い縛り反抗的な目で睨んでくる臨也を鼻で笑ったが。
直後、はらりと落ちた涙に目の前が真っ赤になった。
泣いている。

「…ちょ、ヤっだ」

立たせていた体勢から洋式の便座の上に力ずくで座らせ、足を広げさせる。膝の裏をわし掴み顔の横に強引にもっていくと、無理な体勢に臨也が苦しそうに顔をしかめた。べろりと涙を舐めて容赦なく動きを再開する。ぐじゅぐじゅとあまりに勢いが強いピストンに結合部に溜まった先走りが泡をたて始める。臨也のいう気持ち良いところをひたすらえぐっていると引きつるような悲鳴が聞こえてきて気分が良い。いやだいやだと髪を振り乱して懇願しながら痛いくらいの刺激をモロに受け止め続けるその細い肢体に、なおさら興奮した。

「っ、あ、っヒぃ…ぃい゛ぅっ、」

ずっと手をつけていない臨也の前を握り込んでやる。まるで既に射精したかと疑うほどに先走りでドロドロのそれを絶頂を促すかのようにこする。今度こそ臨也の限界が近いようだ。

「うぅあ、ひっ、ひずちゃ、ン、やめて…っ」
「……ここまできてやめろとかアホか手前」
「だ、って……ッイきそ、う゛ぅァ!」

頑なに射精を拒む臨也だったが、今は要望を受け入れてやる心の広さも余裕もない。ゾクゾクと快感が全身を駆け上がる。絞り取るような動きを繰り返す臨也の後膣に息が詰まった。

「ひ、ひいっ、ん…はぁっぁああ゛!」
「……い、ざや」
「ッ、………っ!」

イった瞬間にさりげなく臨也の唇を奪った。臨也の吐精によってびくびく痙攣したナカに一週間分の白濁をたっぷり流し込む。馬鹿みたいに溜まってんな俺。唇を離しながらそんなことを考えて自分で呆れた。










「なんのつもり?」

呼吸を落ち着かせ、お互い服を整えていると臨也が紅い目を鋭く光らせて尋ねてきた。なんのことかさっぱり分からず無言を返してしまう。

「…いつもしないくせに」

……キスか。
今まで散々お互い裸で貪っていたにも関わらず、今更キスなんかで恥ずかしがるなんておかしな話だ。別にその場の流れだとか気まぐれだとかでは断じて違う。くそ、イッた瞬間を見計らってどさくさに紛れてしたが憶えてやがったのか。
非難の込められた瞳を思わず見つめ返す。だからつまり、

「ずっとしたかったから」

だからした。
臨也は途端にざあ、と朱に染まった後、何か言いたげな顔をしたがすぐに口をつぐんだ。
キスくらいしか意思表示ができない自分に嫌悪を抱きながら、固まる臨也の頬を掴みもう一度キスを落とした。













殺伐が書きたかったが見事に挫折
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