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※年越し静臨




「あーあ…」

さっきまで起きてたのに。
俺は思わず嘆息した。それから温いそこから出るのを嫌がる体に鞭を打って毛布を出してきて、こたつのテーブルに頬を乗せて爆睡する金髪頭に覆い被せた。なかなか豪快ないびきを聞きながら俺は再びもぞもぞとこたつに戻り、テレビのカウントダウンを眺めた。大好きな人間たちがわあわあと盛り上がる様子に笑みを浮かべ、除夜の鐘に聞き入る。
そうして俺は、実質シズちゃんと二人で…だけど気分的には一人で年を越したのだった。









意識が浮上する。
ぱちりと目をしばたたかせて、台所に立つエプロン姿を見やる。しまった。寝てしまった。

「っおい!」
「あ、シズちゃんあけましておめでとうー」

俺の声に気付いて振り向き、ふにゃりと呑気に笑いかけてくる臨也。かわい……じゃなくて。

「なんで起こさなかったんだよ…」

俺がうたた寝してしまう前に二人で食べた年越し蕎麦の片付けをしていたらしい臨也は、エプロンを外してこちらにやって来た。そのまま俺の隣にぴたりとくっついて暖をとり、困ったように眉を下げた。

「えー…だってあんまり気持ちよさそうに寝てたから…」
「だからってよぉ…」
「はいはいごめんね」

臨也が我ながら理不尽なことを言う俺の頭をなだめるみたいに撫でる。肩にかかっている毛布に気が付き、頬が緩みそうになるのをこらえ、臨也の脇腹を掴んで膝の上に座らせた。頼りなさ気な臨也の肩に顎を乗せ、服の下へと手を差し入れる。

「ちょ、いきなり何!?」

狼狽える臨也を無視してせわしなく体をまさぐっていると、熱い息と共に笑い声が室内に響いた。

「なんか、シズちゃん体温あつい…眠いの?」
「…まあ」
「っふふ、子供みたい」
「んだとぉ?」

がぶりと色白の首筋に歯を立てて抱きかかえる腕に僅かに力を入れると、ごめんごめんと心から思ってないくせに謝り始めた。力を緩めて、再び肩に顎を乗せ直す。脱力してしまうようなぬるい雰囲気が広がって、さっきまでこたつから出ていたからか少し冷たい臨也の身体がとてつもなく心地よい。また瞼が下がり始め、うっかりまどろみそうになる。

「シズちゃん、この体勢で寝ないでよ?」

そんな俺を鋭く察した臨也が咎めの言葉を吐く。腕の中で俺の袖を引っ張りながら、

「ベッド行こ」
「……ほう…覚悟できてんだろうな」
「え?……あ!ちが、そういう意味じゃ、」

べろりと耳たぶを舐め上げるとかなり本気だと思われる肘鉄をモロに腹に食らった。まぁ痛くも痒くもないが。しかし少しの間、拗ねてしまった臨也にまずいと思って服の下にあった手を放した。安堵の息をついた臨也はさらに深く俺に体を預けてきた。

「ねぇ、起きたら初詣行こ」
「ああ」
「それから、帰りにスーパー寄ってさ」
「ああ」
「今更だけど、夜に間に合うようにおせち作るね」
「…楽しみにしてる」

手伝ってよお、と笑う臨也のうなじに軽くキスを落として、まだ鳴っている除夜の鐘に耳を傾けた。


今年も静臨が幸せでありますように!
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