Main静臨 | ナノ




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「するの?」
「する」

俺は今、この間クリーニングに出したばかりの、真っ白ふかふかな高級羽毛布団の上に押し付けられている。洗剤の匂いが顔の横から漂ってきて心地いい。さっきまでそうやってうたた寝をしていたら、いきなりシズちゃんにマウンドポジションをとられた訳で。

「あ、ほんき…っ?」

せっかちなシズちゃんは、早速もぞもぞと服をたくしあげ始めた。くすぐったい。

「臨也、臨也」

耳元で吐息まじりに囁かれる低音ボイスが俺の思考をとろとろに溶かしていく。そんな、すがるようなエロイ声で名前を呼ばないで頂きたい。

「っ、乱暴、しないでね」

がぶりと首筋に噛み付かれたので思わず忠告しとく 。なんかもうお互い、歯止めが効かなくなってるような気がするのは気のせいか。そして忠告はちゃんと耳に届いたのだろうか?俺の顔横についているシズちゃんの手の握力が一層強くなった気がした。そんな風にしなくても逃げないから。
いくつもキスを落とされながら胸の突起を強く摘ままれると、嫌でも反応してしまう。今が真っ昼間だってことも気にならないくらい無我夢中で互いを貪り合う。どんなにシズちゃんの背中を掻き抱いても足りない。何度も何度もしがみつき直すと、落ち着けと言わんばかりに手首をまとめられた。
あ、これ、なんかいや。

「ん、手っ…いや、だ」
「あ?」

突起をしつこくこねくり回されて息も絶え絶えに喘ぎながら抗議すると、シズちゃんは訝しげに 顔をしかめた。言えってか。

「…抱き、しめた、ぃ」

なに言わしてんの。
シズちゃんは聞いた途端すぐに手を放してくれた。すっかり赤くなったであろう顔を隠すために、おっきな背中に力いっぱい腕を伸ばして肩に埋めた。

「ぅう…ひ、ぁあ!」

いつの間にかスラックスが剥ぎ取られてて軽くビビりながらも続く愛撫に体を跳ねさせる。耳を犯す粘着的な水音が頭の中をピンク色に染めていく。高まる射精感を感じながらさらにシズちゃんにすがった。

「イく、かも…」
「……1回出せ」

追い討ちをかけるようにシズちゃんの大きな手の平が俺の性器を扱き上げる。
おかしくなりそう。ちょっとなんでこんな気持ち良いのさ。こんなときだけ良い具合の力加減にしないでよ。
俺はなんだかとっても理不尽なことを脳内で呟きながら快感の波にざぶざぶと呑み込まれていった。

「ひああ、あっ」

びゅく、と白濁を吐き出すと視界にあるシズちゃんの笑みが一層深くなった。俺がまだ荒くなった呼吸を全身で整えようとふうふうしているにも関わらず、次の行為に移ろうとする彼の背中に爪をたてる。

「は、ふぁ、はぁ…っ」

とろけきった思考のまま、お互いの吐き出す息までぜんぶ残らず飲み込むようなキスを繰り返す。すっかりとけている脳内は流れ込む唾液さえ甘く感じた。たかがキスなのにまるで捕食されてしまいそうな気分に陥る。な んか、妙にがっついてるな。

「ん、んん!んゃ…ぁっ」

そうしながら指が蕾に添えられたのを感じた。俺の大好きなシズちゃんの長い指が奥へ、奥へと入り込み、せまい中を犯していく。俺が吐き出した精液はちゃっかり潤滑油の役割を果たしており、異物を押し戻そうとする括約筋をぬるりとこじ開けてしまった。
指は何度か出入りをした後に腹側にあるしこりをいとも簡単に見つけ出し、ぐりぐりと痛いくらいに潰しにかかった。目の前がちかちかする。

「…ぬるぬる」
「ゃ、だ…っああぁ、ひっ」

実況すんな。涙で滲んでいく視界の様子を味わいながら相手をきつく睨んだ。
慣らす行為は嫌いだ。慣らさなきゃ痛いしキツいし、大変なことになるが…恥ずかしさが尋常 じゃないのだ。シズちゃんはわりと冷静に指だけ動かしているのに、俺は息も絶え絶えに喘がされている。そんな俺の痴態をじっくりねっとり鑑賞されるのだ。こんなの不公平である。

「も…ぃいか、ら、ぁ!」
「まだ二本しか入ってねぇ」
「ぃい、いいって、!」

快感と格闘しながら必死に懇願した。もうプライドもへったくれもない。こんな姿、シズちゃん以外の誰かに見られたら死ねる。

「…いいのかよ」

にゅる、と指が抜かれる感覚にさえ身震いした。そのシズちゃんの不安のこもった声色と言葉に、あ、もっと慣らしてもらえばよかった、と少しだけ後悔した。時すでに遅くシズちゃんのありえないくらいでっかいものがもう入り込もうとしていた。やばいかも。

「……きっちぃ、オイ息吐け」
「ムリ、無理だって、ふぅ、」

案の定痛い。
やっぱもう少し慣れてからのがよかった。

「ぁぐ、う、いた…ぃ」
「馬鹿か手前は…」
なんだと。
「!?…ッあ、あっあっ」

苦戦していると、再度シズちゃんの手が萎えきってしまった俺のものへ伸びた。そのまま激しくしごかれるとあっさりと痛みに快感が混ざる。少しだけ緩くなったのを見計らってシズちゃんは腰を一旦引き、そして俺の中に力ずくにねじ込んだ。

「〜〜〜〜ッ!?」

しっかりとした声になっていない叫びはシズちゃんに届いただろうか。
つか苦しいよ、息できない。

「はっ…は、はっ」
「ちゃんと息しろ」
「ん、ふぅ、は……ッく」

下腹部がとてつもなく重い。入ってばっかいる酸素が肺にぱんぱんに詰まって破 裂しそうだ。馬鹿みたいにぼろぼろ涙の雫が眼から生まれては落下する。

「…血ィ出てねえから大丈夫だな」

そういう問題じゃない!

「動くぞ」
「ぅ、え!?イヤ、待っ」

抗議の声も虚しく律動が開始されてしまった。正直意識が朦朧としてます。

「もっ…ゆっ、くり、ひっ!」
「もういいやらまだ駄目やら面倒くせぇ奴だな」

仕方ないじゃんそんなの。
君の規格外にでかいそれを突っ込まれて腹ん中かき回されるこっちの身にもなってみろ。
あ、なんか頭痛までしてきた。

「あ、ああっ!ひ、ぅ!」
「気ィ失うなよ」

むちゃくちゃに揺さぶられながらも、なんとかシズちゃんにしがみつく。がつがつと前立腺を集中的に擦られて思わずぎゅうぎゅうと締め付けてしまう。

「でそぅ、しうちゃ、あ!」

全く呂律が回っていない俺の額に張り付いた前髪を優しくかき上げるその行為にさえ、きゅんときてしまう俺は末期だ。
シズちゃんとのセックスは乱暴なものが多いけれど、その中でふいに見せる仕草だったり気遣いだったりに想いを感じるだとか別にそういう訳では。
あれ、何言ってんだ俺。

「何言ってんだ手前」
「うわ本当何言ってんだろね」

しくじった。
声に出してたようだ。なにこれどういうこと?とりあえず誰か俺を絞め殺してくれるかな?ただちに。即座に。今すぐに。

「ちが、いまの、は…」
「……………」

止まってしまった腰の動きに対して流れ出す沈黙。そして引っ込んだ涙に対 して冷や汗がどっと溢れだした。
なあにこれは。どういう状況なの。

「……………」

無言を突き通すシズちゃんに耐えかねた俺は視界に彼を捉えないように目を逸らした。

「……なんか言ったらどうなのさ」

頼むから無言だけはよしてくれ無言だけは。そっぽを向いたままそう言うと。

「…いつもそんくらい素直ならかわいいのによ」

舌打ちと共にそんな回答が返ってきた。

「…は?」
「臨也、好きだ」
「………ッ」
「動くぞ」

否応なしに再開。
かわいいとか好きだとか、そういうのよしてほしいな。ほら、素直じゃないから、どうしていいか分かんなくなっちゃう。

「あ!ひぃっ…だ、めぇ」
「…イケよ」
「ぁう、しずち ゃっひあぁ!」

思いっきり前立腺を突かれて、欲望を自分の腹の上に吐き出した。どっと疲労が襲いかかってきてぐったりしているのもつかの間、シズちゃんに再度腰を掴まれた。

「あっ、中、だめだ、って」
「出させろ、よ!」
「だめ、ひ、っやあぁ!」

最奥に突き込まれたと同時に腹の中に熱いものがぶちまけられた。あ、ドクドクいってる。

「ちょ、……ばか」
「孕むわけじゃねぇんだしいいだろーが」
「後処理が大変なの!」

なにこの無神経男!
下腹部がずっしりと鉛のように重い。疲れた。

「…どいて」

シズちゃんは何も言わずにずるりと自身を抜いた。入りきれなかった精液がどろっと溢れ出てくる感覚に身震いした。
好きとか かわいいとか、ときめいた俺が馬鹿だったよ!

「…………」

額に手を添えられた。前髪を優しくかき上げるそれは俺の好きな仕草だった。くすぐったくて思わず頭を横にふる。ご機嫌とろうったってそうはいかないからね!
睨むと今度は額にキスを落とされた。そのまま鼻へ、頬へ、とじっくり降下していき首筋にキスをされた。ん?

「シズちゃん、くちは?抜かしてるよ」

あ、

「…そうだったな」

シズちゃんが、にやりととっても意地の悪い笑みを浮かべた。ちくしょう。

「今のは違う!おおおおしえてあげただけでべべ別に俺がしたかった訳ではっ」

続く言葉はシズちゃんに飲み込まれた。ここで突き放さないあたり俺は相当シズちゃんに惚れ 込んでいるらしいよ。知らないけど。俺は認めてないよ。




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