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情報屋折原臨也が消えた。
そんな噂がたったのはもう三週間程前のことである。ある者はヤクザに消されたと言う。またある者は、ついに平和島静雄に殺された、だとかほざいていたような気がする。
俺、平和島静雄本人が言う。
殺してなどいない。
実は俺自身、奴の姿を一ヶ月前から見ていないのだ。臨也に反応する嗅覚と勘は、今までが嘘のように何も察知してくれなくなった。俺には分かる、もう臨也はここら辺にはいない。
なぜか本能がそう伝えていた。


俺と臨也は付き合っている。それこそ、もう二年くらい前からだ。あいつと最後に会ったのは確か前の月の終わり頃だった気がする。
予兆はなんとなくあった。名前を呼ばれ返事をするとやっぱ何でもないと返されたり、何か話したがって、もごもごする様子も多かった。ぼーっとしていることも多々見られ、様子がおかしいと感じた矢先の出来事だった。
何を考えているんだあいつは。おかげで俺は仕事に手がつかなくなってしまった。トムさんには多大な迷惑をかけてしまっている。新羅は何も知らないらしいし、あいつの秘書の女も興味無さげに首を傾げる始末だ。この一ヶ月、俺は生きた心地がしなかった訳だが。




そんな時、奴がひょこっと帰ってきた。
とりあえず一発殴ってやろうかと思ったが右腕がでるより先に、俺はその小さい体を抱き締めていた。

「苦しい…」

こいつ、何を呑気なこと…!

「手前マジでふざけんなよ、俺がこの一ヶ月どんな気持ちで生きてきたと思ってんだこのクソノミ蟲が手前百回死んでこい今すぐ」

気付いたら出来る限りの悪態をついていた。一ヶ月ぶりに抱き締める臨也の体は一段と細くなっていて俺の不安をさらにかきたてる。
一体何をしていたんだ、何故俺に何も言わずに居なくなった、何故電話に出なかった。
いくつも問いただしたいことがあったのだが、いざコイツを前にすると全部吹き飛んだ。

「無事でよかった」

神経がすり減るほど心配した。やっとの思いで本音を吐き出すことができた。

「ごめんねシズちゃん」

臨也の白い手が俺の頭を至極優しく撫でる。良く見ると表情が柔らかくなったような気がする。

「ほんと馬鹿野郎だな手前は」

臨也の黒髪に顔をうずめると、ぽたりと滴が落ちて、雨が降ってきたのかと思った。

「シズちゃん泣いてる…?」

臨也にそう言われるまでは。

「………は?」

おそるおそる頬に手をやると濡れていた。
マジか。

「ごめん、ごめんね」

何度も何度も謝った臨也は、その後俺の涙が流れる瞳にキスを落として、再度きつく抱き締めた。


結局、どこで何をしていたのか聞かないことにした。というか、聞くなというオーラが臨也の全身から漂っていた。正直半端なく気になるが。

本当に、こいつといるとろくなことがない。
(でも、離れたくはない)



臨也さんは手のかかるひと
結局どこに行ってたのかは謎

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