いつかの話


ねぇ、どうしてあたしはココにいるの?
少女の問いに答えるモノはいない
代わりに金髪の『彼』は答えた
「ココは苦しみも悲しみもない素敵な世界さ!」
「それは答えになっていませんよ」
親友の男は言った
しかし男が読んだどんな本にも
少女の答えは載っていない
知識の番人である彼氏は
それ以上口を噤んだ
「まずはあんさんの身支度が先だわさ。あたしゃ醜いモノは嫌いなんだわさ」
今度はグラマラスな女が
少女を見ながら顔をしかめて言った
「なんだよ、久々に来たら面白いことになってんじゃん」
ニヤニヤしながら紅い髪の少年が近づく
「どうせあれだろ? 貴族兎あたりについてきたんだろ? かわいそーなヤツだな」
ぞんざいな物言いをする少年を
少女は睨むことしかできなかった
「キミがどこから来たか分からないけれど、コレだけは言える。ボクはキミの味方だよ」
その言葉がどれほど救いになったか
『彼』は知らない
少女は覚えている
あの日までに過ごした日々を
『彼』との会話も全部
少女にとって『彼』こそ全て
だからこそ
彼の全てを知るまで
諦めるわけにはいかないのだ




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