白薔薇学園のアリス


「ごきげんよう。あなたが転校してきた子ね。あたくしはこの学園の校長、ロゼですわ。ようこそ白薔薇学園へ。
 ところで、今日のあたくしの格好はいかがかしら? 『夏でもドレスで暑苦しい』という目安箱への投書により、今日は七夕にちなんで着物モドキですの。ラフでごめんなさいね。(秘書Aと秘書B。この投書を筆跡鑑定と指紋鑑定に出して犯人を割り出しなさい! こんな投書する奴は退学よ!)あら、失礼。(にこり)
 この学校には個性豊かな子がたくさんいるの。転校生のあなたがどんな感想を抱いてくれるか楽しみだわ。さて、まずはクラス見学から参りましょうか。(正直暑いし面倒くさいわね)あら、良いところに。アリス!」
「わぁ、校長先生こんにちは!」
「貴女、自分のワンピースを警備員の双りと遊んで汚したんですって? 親友の服借りておいて、ずいぶんはしゃいでいるわね」
「ズボンって普段着ないからつい。ワンピースは洗って職員室に乾かしてます。そろそろ渇いたかしら」
「彼女はアリス、1ヶ月前に転校してきた子よ。アリス、この子が貴女のクラスの転校生」
「話は知ってるわ、よろしくね!」
「あたくしは面倒・・・・・・いえ、仕事があるので、この子の案内を貴女に任せるわ。よろしく頼んだわよ」
「わかりました。さぁ、行くわよ転校生っ! じゃあね、校長! とりゃー」
「・・・・・・アリスったらあんなにはしゃいで。まぁ、暇ができてよかった。昼寝でもしよっと」

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「まずはクラスにいるメンバーを紹介するわね。この方があたしたちのクラス担任、芋虫先生。ボソッと話す方だから聞き取りにくいけど、いろいろなことを知ってて博識なのよ」
「担任の・・・・・・芋虫です。よろしく・・・・・・ね」
「先生、もっとお腹から声出して。またカラオケで腹式呼吸の練習しようね。あとは・・・・・・あ、いたいた。三月!」
「よ、アリス! どこ行ってたの?」
「彼女あたしの親友、三月ウサギ。今日は泥で汚れたあたしのために、服を貸してくれたの。そのせいで隣のクラスの担任の白兎先生の服を着ているから、今はぶかぶかの格好ね。眠りネズミって名前の鼠に首輪をして飼ってるの」
「・・・・・・(いやいや、おかしいだろ! オレもクラスメイトにしろよ!! なんでオレはこんな仕打ちなんだよ!!!!)」
「それじゃただの変態じゃない」
「てか、なんでわたしらはこんなまどろっこしい服の交換してんだ?」
「きっと親友だからよ」

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「で、ここが体育館。授業したり、それぞれの部活が運動したりするわ。大声を出しているのが応援部。1番前で学ランを着ている団長が蝶子さんって言うの。ちなみにあたしたちのクラスの番長でもあるわ」
「おや、あんさんが噂の転校生だわね。この学校には慣れたかい?」
「慣れるために学校を廻っているのよ」
「そりゃ愉快だね。そうだ、バレーボール部員がやっこさんを探していたよ。見つけたら言っといとくれ」
「またチェシャはサボってるの? チェシャ猫っていうのは、隣のクラスなのにいつも鼠をいじめにうちのクラスに来る奴なの。サボり魔で、授業も部活も中途半端。目に痛いジャージを着て歩いてニヤニヤしてる奴がそうよ」
「ニヤニヤって、変態みたいに言うなよ」
「ほら現れた。彼はこんな風に瞬間移動ができるの。バレーボールの大会では『反則的にマークされない男』で有名よ」
「どんなボールも返すぜ、やる気さえ出れば」
「なのにこんな気まぐれ屋なのよね」

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「ここが警備員室。さっきまであたしが遊んでたところよ。学園の警備員さんは双りだけなの」
「僕らは君に会ったよ」
「僕らは君を通したよ」
「そっか、あなたがこの学校に入るときに会ってるわね。この学校の安全は彼らに守られているわ。あら・・・・・・こんにちは。貴方もいたのね」
「はい、ここで一服していました。また掃除に向かいます」
「お掃除メイドの帽子屋さん。お茶が大好きな用務員さんなんだけど、『お掃除時メイド服着用必須』っていう校長の校訓により、ほぼ一日をメイド服で過ごしているわ」
「校長は私が恥ずかしがる様を喜ぶつもりだったようですが、あいにく私は服に興味がないので」
「そういう問題ではない気がするけど・・・・・・まぁいいわ。お仕事頑張ってね」

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「最後に職員室ね。チェシャのクラスの担任がいるはず・・・・・・」
「おぉ、アリスではないか」
「いたいた、白兎先せ・・・・・・」
「芋虫先生なら自分のクラスにいるはずだぞ。私も愛しの三月に会いに行くから、共に参ろうか」
「先生・・・・・・なんであたしのワンピース着てるの・・・・・・」
「愛しの三月に服を貸したんだが、思いのほか寒くなってな。そこにあった服を拝借したのだ」
「ちょっと、それあたしのよ! ほかの先生に借りるとかできたでしょう?」
「いやー、風にひらめいていたのでつい」
「ついで勝手に人の服着るなー!!」
「仕方ない、返すから待っておれ」
「着られるわけないでしょ! そんなのびのびのワンピース!!」
「細かいことを気にしては三月のようなレディになれないぞ」
「生徒好きの貴方に言われたくないわよ!」

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「ごきげんよう、転校生。学園見学は済んだかしら?
 ・・・・・・え、早速だけど転校手続きを済ませたい? こんなふざけた学園で貴重な青春時代を過ごせない?
 あらあら、心外ですわ。そんなこと言われるなんて。まぁ、来るもの出るもの拒まずな学園ですから、手続きも簡単です。さっさとそのドアからお出でなさいな。そして二度とこの地に足を踏み入れないでくださいね。・・・・・・はぁ、また転校生を逃したわ。新入生も入ったのにみんな出て行ってしまうし。アリスに案内を任すからかしら」
「お嬢の作る校訓が原因の一端かと」
「うるさいわね秘書A。みてらっしゃい、次こそ学生を増やしてやるから」
「お嬢さま。新しい転校生が参りました」
「でかしたわ秘書B。ほら、笑顔作るわよ。・・・・・・ごきげんよう、転校生。白薔薇学園へようこそ」



End・・・?




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