まいご


ありすと双子


アリスと双子は帽子屋邸のお庭に居ました。
大きな大きなお庭。迷路の様な薔薇の園。アリスと双子は一緒に遊んでいました。


「アリス!」

「アリス!こっちだよ!」

「急がなくても何処にも行きやしないってばー…」


いそいそと双子はアリスの腕を引っ張り、アリスを急かします。アリスはアリスで、二人に引かれる力のみで歩みを進めていたので、全く進みません。
けれど双子は諦めていませんでした。


「何でそんなに急ぐんだよ」


アリスは先程から思っていた疑問を口に出しました。しかし双子は微笑むだけ、何も答えません。

アリスは帽子屋の書斎で本を読んでいました。とても難しい本です。
そんな時、双子が嵐の如く駆け込んできて、アリスは理由も聞かされずに連れて来られました。
そして今に至ります。


「なー、ツインズー…」

「なあにアリス」

「どうしたのアリス」

「いい加減話してくれよー」

「何を話すの?」

「何を言えば良いの?」

「わかってるくせにぃ…」


中々質問に答えてくれない双子に、アリスは段々面倒臭くなってきました。
ニコニコとずっと笑顔の双子。まだまだ先へ行く様です。


「もう少し!」

「あと少し!」

『頑張ろう!アリス!』


ふと、双子が声をあげました。先程とは違う、真剣な声色。
アリスはそれに反応し、顔を上げました。

双子が真剣になるということは大変珍しいことです。気分屋な双子が滅多なことがないと真剣になりません。
今この時が滅多な時の様です。


「え…?」


すると、目の前が開けました。辺り一面、薔薇だった所から出た様です。

ここが帽子屋邸のお庭の端。
薔薇園の先には来たことがないアリスは息を飲みました。


「うわ…っ!」


目の前には数え切れない程のひまわりたち。みんなが上を向き、高くたかく伸びていました。


「嬉しい!?アリス!」

「キレイ!?アリス!」

『喜んでもらえた!?』


きゃっきゃっとアリスの周りを回る双子。とても楽しそうです。
けど、アリスは呆然と立ったままです。

きらきら、とひまわりが反射する光がアリスの眼を輝かせました。
きらきら、キラキラ。
そのひかりは温かく、柔らかいものでした。


『アリスー…?』


あまりにも動かないアリスを心配し、双子は声を揃えてアリスの名を呼びました。
その声で、はっ、と意識が戻ったアリス。慌てて、心配そうに見つめてくる双子の顔を見下ろしました。


「あ、ごめん!…ありがとうな、ツインズ。とっても綺麗だ…」


そう言って光に照らされたアリスの顔から零れた笑みはとても優しいものでした。
その笑顔を見た双子もまた、柔らかく微笑みました。


帽子屋邸の薔薇園の先は、双子しか知らない場所でした。
そして双子には大切なものが出来た時、この場所を誰かに教えよう、という二人の約束があったのです。
どうやら双子に大切なものが出来た様子。いつも以上にニコニコと笑っていました。


暖かい陽射しが差し込む、良く晴れた午後の日のことでした。












end.
阿沙紀様より相互記念小説を頂きました!!
可っ愛いですね〜アリス&双子!心温まる話だ(´∀`///)
 素晴らしいプレゼントありがとうございました!これからもぜひ末永く宜しくお願いします!!

ではお忙しい中、本当にありがとうございました!




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