「犬飼くーん、今日お祭り行かない?」

「あ?夜久と行くんじゃなかったのか?」

「月子ちゃん、生徒会で行くってことになっちゃってさぁ。不知火先輩は今年で最後だからね」

「あぁ、良いぜ。どうせ暇だしな」

「じゃあ放課後に校門前で!」






***


「ごめーん遅くなって!!待った?」


と言いながら来たのは、いつもの私服じゃなくて、浴衣を着て、髪をまとめた#name1#だった。私服と制服じゃない#name1#なんて初めて見た。なんか女らしさが更に上がったというか、綺麗というか……。
そしてなんてお決まりな台詞を言うんだ、こいつは。まるでデートじゃねえか。
って、俺は何考えてんだ!?


「んじゃあ行きますか」

「うん!!」







祭りの会場になっている神社に行くと、既にたくさんの人で賑わっている。
隣では屋台を見て、「どこから行こうかな」って呟いて、チビッ子にも負けないくらい目をキラキラと輝かしている#name1#。


「チョコバナナに林檎飴、焼きそばにたこ焼き…!!ああー!!大判焼きまであるよっ!!」

「慌てるなよ#name1#、屋台は逃げないぞ。食べたいやつ食えば良いじゃねえか」

「え、犬飼くん、全部付いてきてくれるの?」

「当り前じゃねーか。こんな人いんのに、1人にしたらはぐれるだろ」

「そうだよね!優しいなー犬飼くんは」

「まあな。弓道部で優しいといえば俺のことだからな」

「まさかぁ。金久保先輩でしょ、それはー」


なんて喋りながら屋台を巡った。
にしても、こいつはどんだけ食うんだ。さっき言ってたのとさらに、かき氷にクレープ、あんず飴とわたあめ、ラムネまで食ってるぞ。こんなちっこい体に、よくもまあこの量が入るな……。


「あ、犬飼くん食べる?今ならたこ焼きプレゼント」

「マジで?じゃあもらうわ」


爪楊枝を取ろうとしたら、#name1#がたこ焼きの1つを刺して俺に向けてきた。おいおい、これはそういう展開か!?
#name1#の行動に戸惑っていると、「やっぱり嫌だよね…」って聞こえた。

え、これは…………いやいや俺の思考回路よ、早まるな。
けど、#name1#があまりにも悲しい顔をしていたから、俺は#name1#の手にあるたこ焼きを食べた。


「お、ここのたこ焼きうめーな。もう1個もらって良いか?」


なんて言えば、#name1#はまた元の楽しそうな顔に戻って、さっきと同じようにたこ焼きを出してきた。


「屋台の食べ物は全部おいしいよね!!私、大好きなんだ!!」

「俺もそうだな。屋台のはなぜか全部うまい」


と言い終えたのと同時に、急に#name1#が立ち止まった。
何かと思えば#name1#は射的を見ていた。正確には射的の景品を、だ。


「ん?やりたいのか、射的?」

「うん……。だけど私には取れそうもないかな。ちょっと難しい」

「どれだ?」

「あの左側の方のストラップ」

「あれって……」


#name1#がカバンに付けているストラップのシリーズだったはず。あのシリーズはかなり気に入ってるって言ってたな。


「あれだけね、買えなかったの。買いに行ったらもう置いてなくて、探したのに全く見つからなかったんだ」


「全部揃えたいな…」って言ってる#name1#を見てたら、取らなきゃいけないような気がした。


「なら、俺が取ってやるよ」

「い、良いの?でも難しいよあれ」

「おいおい、俺を誰だと思ってんだ?」

「ふふ、犬飼くん弓道部だもんね。期待してます」


そう言われちゃ取らないわけないだろ。つか俺なら取れる。余裕でな!!



射的屋に入り、弾をもらった。数は5発。弾を詰めて、狙いを定めて……





――スカッ


――カスッ


――パコッ


――ポコッ



1発目はブレがあったが、それ以降は確かに当たった。なのになんでだ。なぜ落ちない!!?


「やっぱり難しかったよね…。ごめんね、無理に頼んじゃって……」


取れるとか言っときながら取れなかったなんて、白鳥に笑われる。
いや、#name1#悲しい顔を見るわけにもいかねぇ。

ん?なんで俺こんなに#name1#のことに必死なんだ?まあ良い。今はこの最後の弾に全て懸ける!!
そう意気込んで引き金を引いた。










***


帰り道、#name1#はストラップを握り締めながら嬉しそうに歩いていた。
……いやー危なかった。まさか取れないかもな、なんて思ったが、最後の1発、あれが良い所に当たったらしく、見事落ちた。


「楽しかったね、犬飼くん。それに、ストラップありがとう!!」

「いんや、良いってことよ」


#name1#の笑った顔がやけに脳裏に残る。
そろそろ#name1#の部屋に着く。
そう思うとなぜか寂しく感じる。


「なんかね、犬飼くんと離れるの、寂しいな」

「…………え」


俺が思ったことを言うから声に出てたかと焦ったが、思考が違う方向を向いている。
それって、……まさかな。#name1#を見れば顔が赤い。ってことはそういうことなのか。気が付けば自分も顔が赤くなっていた。






「私ね、犬飼くんのこと、好きだよ」




■あとがき
どうでしたでしょうか…?
私、夢小説を書いたのこれでまだ3本目なんです
もっと言えば、starry☆skyを書いたのが初めてです
それなのにサブキャラの小説を書くのはかなり難しいものでした
これ、犬飼ですかね
どう見ても「誰だこいつ」って思います
書いた私ですらそう思います
作品の解説はしませんというか、説明が下手なので言いたいことが伝えられないのでやめておきます
読みにくいと思われた方、ごめんなさい
もっと修行して見やすい改行を見つけます!

読んで戴いた方々、そして梨乃様、ありがとうございました
宜しければこれからもよろしくお願いします


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