天体観測をしようと言い出したのは現在進行形でぐーすか寝ている幼なじみだというのに、コイツは一体何しに屋上庭園に来たんだ。
「・・・・・はぁ」
とりあえず上着を掛けておいたがそろそろ起こした方がいいだろう
「名前、オイ起きろよ」
「んー・・・」
「・・・・今寝たら夜寝れなくなんぞ」
「・・・・たか、ふみ」
「おう」
「おはよー・・」
「、さっさと起きろ」
ぐしゃぐしゃと髪を掻き混ぜてやれば唸ってやめろーと身をよじった。まるでその姿は猫のようで、今ここに俺以外のヤローがいなくて心底よかったと思うぐらいには目の前の彼女は「女」で、それを俺は随分前からよく理解していて、だけど、
「・・・・隆文?」
「・・・・・何だ」
「変な顔、してた気がした」
「変な顔したお前が言うなよだれ出てんぞ」
「嘘!」
「嘘。」
「!・・インテリ眼鏡が・・っ!変な顔とか言うな!地味に傷つく」
「あー、悪かった悪かった髪ぐしゃぐしゃだなオイ」
二年前なら、自分の手でコイツの髪を梳かすことはできた筈だ。
だけど、もう、駄目なんだ。触れてはいけない。触れたら最後、俺はこのモヤモヤが何なのかを本当に理解してしまうから。だから、駄目だ。
「髪ぐっしゃぐしゃに掻き混ぜたのはアンタでしょ。」
「誘ったくせに5分と持たずに寝たお前が悪い。」
「・・・・ごめん。」
「ったく、俺だったらよかったものの・・・」
「・・・隆文以外だったら?」
「わかってんだろ。・・・ぱくっと食べられて終わり。」
そう答えれば、名前は何が悪かったのかわからないが、外方を向き、ぶつぶつと文句を言いはじめた。
「・・・・本当のことだろ」
「・・・・・・・・」
「拗ねんなよ」
「・・・・・隆文は、」
「あ?」
何だと言えばくるりとこちらを向いてバツが悪そうに言った。
「隆文は、どうなの?」
「・・・・・・・・・・は、?」
コイツは、
何を言っている?
「隆文は、私をどう思っているの?」
幼なじみ、そう、腐れ縁だ。今までだってこれからだって。
なのに、何で、何で───・・
「・・・・・・・、・・・・・」
言葉が上手く出ないんだろうか
もう恋は始まっていた
■あとがき(あればどうぞ)
犬飼なのかコレはっていう話ですね。そして短い・・・!本当にすみません。
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