「隆文」
ああ、また、だ。
俺には幼馴染がいる。
同い年で、異性の幼馴染が。
そいつは俺と同じ高校に入ってきて、同じ学科に入った。
どちらかと言うと男勝りで、女っぽくないそいつ。
「でしょ?」
「うんうん、確かに!」
そいつが学園に2人しかいない女子で、もう1人の、夜久月子という俺の部活仲間と一緒に廊下で話しているのを見かけた。
もちろん、夜久の方が可愛いと思う。
女らしいからなんだろうけれど。
そいつ…名前は俺に気づくと、隆文、と手を振る。
俺は軽く手をあげるだけなんだ。
それなのに、名前は嬉しそうに笑うから。
「ちょーし狂うっての」
「何か言いましたか?」
隣にいた青空につぶやきは聞こえたらしく、彼はきょとんとした表情で俺を見た。
「別に、なんでもねぇよ」
「…素直にならないと後悔しますよ?」
にこり、と笑った青空はそう告げると、生徒会の仕事に行ってきます。と言って俺を置いていった。
…んだよ、わかってんじゃねぇか。
何だか気の抜けたような恥ずかしいような、そんな気持ちになった。
素直に、か…。
窓から見える真っ青な空は、どこまでも広くて。
自分の考えなどちっぽけなもののように思えてきて。
「隆文」
不意に呼ばれた自分の名前に振り返る。
「名前…」
「何してるの?」
「んー、何してるように見えた?」
「ちょ、何それ!」
ぽかぽかと俺の頭を叩く名前はやっぱり可愛くねぇなと思いつつ、俺は、やっぱり。
ぱし、と掴んだその手は思っていた以上に細くて。
なんだ、やっぱこいつも女じゃねぇか、なんて思った。
「た、隆文?」
もしもこの気持ちに終わりが来るとしたら、それはきっとbadendに違いない。
もしもこの気持ちをこいつに伝えたら。
「名前、」
「ん?」
「俺は、お前が……」
どうして不意に俺を呼ぶ?
(そんなの、本当はわかってたんだ)
((この気持ちは一生終わらない))
■あとがき
すいません、色々まとまり過ぎませんでした。
ごちゃごちゃしてて、自分でも途中何書いてるか…。
一応説明しますが、
隆文と名前は幼馴染。→同じ高校・学科に進学→隆文と名前はお互いがお互いを好きだったが、気持ちは伝えないまま。→しかし最近名前が良く隆文と呼び、あまりにも嬉しそうな顔をするので、隆文はもやもやしていて…的な状況でして…。
実は裏?設定で、隆文はずっと名前が青空のことを好きだと思っていた、ということがあって…。
せっかくださせていただいたのに、すみません!!
こんなものでよかったら受け取ってください!
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