P.2 by 優竜


2月お題「ホワイトチョコよりも甘く」

版権元 / 借りぐらしのアリエッティ


2月14日。バレンタイン。
世の中の女子にとっては一大イベントである。
それは小人の世界でも同じだ。

小人の少女・アリエッティは、この時期になるとホワイトチョコよりも甘く、粉雪のように淡く儚いほんの僅かな初恋の日々を思い出す。

その相手は、人間の少年・翔。
彼は彼女が関わってはいけない相手だった。

翔と別れてから3年経つが、アリエッティは彼を忘れられずいた。
現在17歳のアリエッティには最近、結婚の話を持ち出されていた。 

クロック一家は翔が過ごした屋敷の床下を引き払ったあと、川を下り、数は少ないが、小人の家族が何組か暮らしている集落を見つけて、そこを住まいとした。

アリエッティと同世代の若い小人たちはどんどん結婚していった。
そのプレッシャーや世間体もあり、ポッドやホミリーも焦っていた。

今夜もアリエッティは両親と口論になった。
「お前は小人を根絶やしにするのか?人間なんて愚かな種族だ。早くあの少年のことは忘れろ」
「もういい、何度お父さんやお母さんに言っても無駄ね。私、結婚なんてしないから!」
アリエッティは感情的にポッドに言い放ってから、自室に戻ってベッドに潜り込む。

「翔、手術は成功した?あなたは今、どこにいるの?お願い...私を助けて...連れだして...」

別れ際に翔から貰った角砂糖を使い、作ったハート型のチョコを口に含み、静かに涙を流した。

2017/02/27――優竜
切なめに仕上がりました。


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