Blue
 紙面に走らせていたペンを止め、ブチャラティは、両手を組み合わせて伸びをした。それからコキコキと首をひねり、肩を揉みほぐす。
「ふー…」
 ここのところ、外回りの仕事にばかり気を取られ、気づけばデスクワークが溜まりに溜まっていた。それを今、必死になって消化していた。
 すっかり冷めきったコーヒーを一口飲み、さてやるか、と気合を入れ直したときだった。おもむろに、執務室のドアがひらいた。

「チャーオ、ブチャラティ」

 ユウリだった。有名な菓子店の手提げ袋を持ち、「おみやげよ」とデスクに置いた。

「…何しに来たんだ」

 手土産に、一応の礼を述べながら、ブチャラティはげんなりとした表情で問いかけた。
 ユウリが自分のもとを訪れる理由などひとつしかないのだが、仕事が溜まっていることと、日もそう傾いていないことから、ブチャラティはなるべく、そういう流れには持ち込みたくなかった。
 しかしブチャラティの思いとは裏腹に、ユウリの指は彼の胸元に伸びていて。

「わかってるくせに」

 そう言って、ユウリはゆっくりと口づけた。

「ン…」ちゅ、ちゅ、と啄むように口づけながら、指先でブチャラティの胸元をくつろげ、彼の弱い部分を刺激していく。

「…おい、やめろ。こんなところで」
「ウソばっか。乳首勃ってるわよ」

 スーツの中に手を差し入れ、慎ましく存在を主張していた胸の飾りを捏ねまわしてやると、柔らかかったそれはすぐにピンと張りつめた。ブチャラティの座る椅子の背もたれがギシギシと音を立て、それが余計に二人の欲を掻き立てる。

「ッ、お前、っ…」

 ぐりぐりと膝で股間部をなじられ、ブチャラティは少し苛立ったように、ユウリの体を持ち上げ、自身の膝の上に乗せた。
「ン、もう…」ミニスカートが捲れ上がり、下着越しに熱い雄を感じる。こすれる感触が気持ちよく、ユウリはくいくいと腰を揺らした。
 そんなゆるい刺激に興奮を煽られ、ブチャラティはユウリのキャミソールに手を掛ける。ブラジャーのホックをはずし、露わになった淡い色の飾りに濡れた舌先を押し当てた。

「あっ…」零れる吐息を頭上に感じる。欲に素直なユウリを、ブチャラティは、愛おしく思う。
 乳首を強めに吸ってみたり、尖らせた舌先でぐりぐりと押し潰してみたりするたびに、ユウリは身を仰け反らせて喘ぐ。

「あン、あっ、はァ…ん」
「…、ん」

 喘ぎながらも、ユウリは、下着越しにペニスをこすっていて、そのもどかしい快感に思わず声が出る。
「はァ、あん、ブチャラティ…」ユウリは、ブチャラティのボトムのジッパーを下げ、下着の中からすでにいきり立ったペニスを取り出した。

「あはッ、もう、すっごいベトベト」
「お前のせいだろ」

 ユウリは腰を浮かせて、先走りの汁を全体になじませるように、硬くなったそれを手で扱いた。「は、…ッ」ブチャラティの濃い睫毛が苦しそうに数回、瞬く。
 余裕の無さを悟られないよう、ブチャラティは、ショーツをずらして、すでに充分な水気を含んだ割れ目に中指を這わせた。

「ン…」全身が痺れるような快感。ブチャラティの長い指が、ひだを割って、ぬめる内部に埋まってゆく。そのままちゅくちゅくと出し入れを繰り返される。

「んっ、ぁ、あぁん。だめ、あッ、あぁ…ん」

 甘い吐息をもらす唇を、ブチャラティは自身のそれで塞いだ。どちらともなく舌を絡め合う。
「ふぁ、ッん、あぁ」膣内を指で犯され、ユウリはキスの合間に喘ぐ。やがて我慢できなくなったのか、ペニスにクリトリスを押し付けて快感を貪りはじめる。

「あ、あぁーん、やぁん、も、入れてい?ねえ…」

 言いながら、すでに先端を入り口にあてがい、腰を揺らしている。

「腰、下ろせ…。そう、そのまま…」
「ふ、あ…」

 先端が埋まり、ゆっくりと腰を下ろす。いつも以上に深い場所まで届き、ユウリは全て埋まりきると、大きく息を吐いてブチャラティにもたれ掛かった。

「もォ、良すぎ…」

「ァんッ」悪戯をするように、ブチャラティが腰を揺らした。
 はじめは遊ぶように小刻みに、しかし慣れてくると、ユウリの尻を掴み、ガクガクと揺さぶる。ユウリはブチャラティの首に腕をまわし、動きに同調して尻を振った。

「あッ、イィん、あ〜ん、ダメぇ…」
「くッ、…ッん、ふ…っ」
「はぁん!」

 目の前でたぷたぷと揺れる乳房に目を奪われ、ブチャラティは、ぷくっとふくれた乳頭に吸い付いた。舌で転がしてやると、ユウリは目に涙をうかべて首をふった。

「やぁ、ダメ、ン、イク、イクぅ…」

 絶頂を促すように、より激しく腰を突き上げ、さらに乳首を甘噛みする。「い…っ」びくびくと細い身体がふるえ、そして狭い膣内が小刻みに収縮を繰り返す。

「はァ、出る…出る」

 膣で扱くようなその動きに、ブチャラティもこらえきれずに射精した。他人のものである膣内が自身の欲で満たされてゆく、不思議な感覚。

「ン…」

 脱力するユウリを抱きしめ、ブチャラティは目を閉じた。それを合図と勘違いしたのか、ユウリはちゅっとキスをする。厚ぼったい唇をなめ上げながら、デスクに積み上げられた書類をちら、と横目で見やる。

「それにしても、すごい書類の量ね。ちゃんと仕事しなさいよ」
「………」

 お前がそれを言うか。
 その言葉が喉元まで出かかったが、結局最後までしてしまった負い目から、ブチャラティは口を噤んだ。




2012.08.31
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