ティッツァーノは◯◯◯したい
 その日、ボスからの指令を受けたのはティッツァーノとユウリだった。
 下された指令は、近頃不穏な動向が活発化している宗教団体、その内部調査である。スクアーロは先日の怪我が治りきっておらず、そのピンチヒッターとしてユウリが駆り出されたのだ。

 活動領域はローマ。ユウリもティッツァーノも戦闘向きのスタンド使いではなかったが、仕事自体はそう難しくはなく、睡眠時間を削って丸一日で片付いた。
 ユウリは前線を退いて久しく、ここ最近はデスクワークがメインだったためすっかり体力と勘が衰えてしまっていた。それを嘆きながら、ひと気のない深夜3時のローマをティッツァーノとふたり並んで歩く。

「はあ、久しぶりに現場出たけど疲れたぁ」
「お疲れ様ですユウリ。今夜はゆっくり休んで下さい」
「ちょっとッ! さりげなくお尻触らないでっ!」

 ユウリは身を翻してティッツァーノの手から逃げた。それは嫌悪感からくるものではなく、嫌でもあの日の記憶が蘇ってしまうからだ。
 すぐ近くの道路に駐車していたドイツ製の自家用車。ユウリの―――もともとはスクアーロが所持していた車である。今日の運転手はティッツァーノ。頑丈なボディが謳い文句の外車に乗り込みながら、ティッツァーノは言った。

「スクアーロは今ごろ心配しているでしょうね。私とあなたを2人きりにするなんて」
「うん。もう出掛けたときからずっとメール届きまくってる」

 早く帰って安心させてあげなくちゃ、と牽制するようにユウリは言う。運転席のティッツァーノは、へえ、と鼻で笑った。その声に嫌な予感を覚え、ユウリは咄嗟に身構えた。そしてその判断は正しかった。

「ねえユウリ」こわばった唇を親指の腹でなぞり、ティッツァーノは言った。「なにをどう安心させてあげるんです?」

「ッ! ティッツァ…!」
「私と浮気セックスなんてしてないって? そう安心させてあげるんですか?」
「そ、そうよ! 実際、ティッツァとはあれ以来なんにもないじゃない! 離してっ…」
「イヤです。こんなチャンスを私が逃すと思ってるんですか」

 ティッツァーノは軽々と助手席の女に跨り、シートを倒した。ユウリの手から携帯電話を奪い、『これから帰るよ』と打ちっぱなしになっているメール画面を見てフッと笑った。送信ボタンはまだ押されていない。素早くメールを消して、携帯電話をグローブボックスにしまい込んだ。

 ユウリはどうにか脱出を試みるが、腰に男の体重が掛かって身動きが取れない。ティッツァーノはそんなユウリの髪をゆっくりと撫でて、愛おしそうに見つめると、大きく口をひらいてキスをした。

「ん…!! ティッツァ…っ!」

 鼻にかかった甘い声に、ティッツァーノはひどく興奮した。ティッツァーノにとってユウリは手が届きそうで届かない、鎖で繋がれたギリギリ先にあるとびきりの御馳走なのだ。
 心ゆくまで御馳走を味わい、犬が皿まで舐めるみたいにぺろぺろと丁寧に唇の内側を舌でなぞった。じらす余裕など一切なかった。

 何度も角度を変え、ねばついた舌で口内を暴いてゆく。
 唇が離れるころには、ユウリの目はトロンと潤んでティッツァーノを見上げていた。せめてもの抵抗にと胸元を押し返そうとするが、その手はあまりにも弱々しく、まるで縋りつくようだった。

 ユウリの手を取って、しっとりとなめらかな手のひらにキスをする。

「今日の仕事なんて本当はどうでも良かった。1秒でも早くあなたとこうしたいって、ずっとそれだけ考えていました」
「ティッツァ…。ダメだよ…」

 耳まで赤くしてユウリは答えた。けれど、それはもう拒絶になっていなかった。ユウリが押しと快楽に弱いということは、スクアーロも交えた前回のセックスでじゅうぶんにわかっていたことだった。

「ティッツァ、この前のエッチで満足したんじゃあなかったの…?」

 そういう約束だったじゃない…。
 消え入りそうな声で言うユウリに口づけをして、ティッツァーノは答えた。

「その約束でしたが、どうしても心残りがあって」
「心残り?」
「はい。やっぱりどうしてもあなたに中出ししたくて、諦めがつかないんです」
「はっ!!??」

 ユウリはギョッと目を見開いて硬直した。
 中出し。中出して。何言ってんだこいつ!!

「そんなのダメに決まってんでしょ!!」
「ピルなら用意してあります」
「そういう問題じゃねーッ!! イヤーっ! 離して!!」
「待って待って、落ち着いて下さい」

 ここにきて全力で暴れ出した(無理もないが)ユウリをなんとか押さえ付け、キスで黙らせる。噛み付かれることも覚悟していたが、舌を捩じ込むとユウリは大人しくなった。彼女が強引なキスに弱いということも、ティッツァーノはしっかりと学んでいた。

「んっ…、…ふ…」
「ユウリ、よく聞いて下さい。いいですか。私たちはいつ死ぬかもわからない危険な仕事に身を置いています。こんな未練を残したまま死んだら、私はきっと成仏なんてできません。ユウリ、お願いします。人助けだと思って、どうか」
「そんな脅迫の仕方ってある?」

 ユウリはもはや呆れを通り越して尊敬の念すら抱きはじめた。このティッツァーノという男は、いったいどれだけ自分を愛し求めているのだろう。

「ユウリ、お願いだ。一度だけでいい」
「………わかった、そのかわり条件がある」

 ティッツァーノはパァッと表情を明るくした。褐色の頬に赤みが差して、少年のようだった。

「条件って?」
「スクアーロに電話させて。全部話す。彼に隠し事はしない」
「……………わかりました」

 その返事に、ユウリはホッと胸を撫で下ろした。
 しかしそれもつかの間。携帯電話を返してもらおうと伸ばした手は、あっさりと助手席のシートに刺し止められた。

「ちょっと、ティッツァ…!?」
「誰が今電話させるって言いました?」
「えっ、…あ!」

 油断した隙にタイトスカートに手を差し込まれ、その感触にユウリは身をよじった。先ほどのキスで、そこはショーツの上からでもわかるくらいに熱く粘って、柔らかくなっていた。爪で優しく引っ掻くように刺激してやると、ユウリは「ひぁぁ」と高い声を上げて仰け反る。

「あぁ…だめ、こんなの、スクアーロに怒られるッ…」
「これからもっと怒られることをしますよ。2人で謝りましょう。ねっ」
「や、やだぁ…!」

 ティッツァーノは素早くサロペットを股下まで脱ぐと、エンポリオ・アルマーニのロゴが入った黒いボクサーパンツからペニスを取り出した。ユウリのスカートを腰のあたりまでたくし上げ、破るような勢いでショーツを剥ぎ取る。黒い総レースのショーツだった。今後のズリネタ用にとさりげなくサロペットのポケットにねじ込んだ。

 これ以上前戯に割く時間も余裕もない。ティッツァーノは息を荒くして腰の位置を合わせた。ぴたりと凹凸の表面が重なって、ユウリはいよいよ涙声になった。

「だ、ダメだって…! それホントにダメ…!」
「ダメだったらこんなにアソコ濡らしてないでしょ…。入れますよ」
「あぁぁぁ…〜〜〜ッ!」

 柔らかいぬかるみに浸かるみたいに、抵抗なくペニスが侵入してくる。ラテックスを隔てていない生の感触。その快楽は男も女も等しく、全身に鳥肌が立つくらい素晴らしいものだった。

「あぁ…!! ユウリッ…、わかりますか、凄いですよ…!!」
「ふぁぁ…だめ、入ってくるっ、奥まで入ってくるぅぅっ…!」

 ペニスが奥へ進むにつれて、ユウリは無意識に男の身体に脚を絡めた。ティッツァーノはそれがたまらなく嬉しい。ペニスが奥まで辿り着くと、あとはもう夢中で腰を振った。

「あんっ!! だめ、あぁん、スクアーロにぃ、怒られちゃうぅぅ!」
「スクアーロに怒られるのと、今ここで私のペニス抜かれるの、どっちがイイんですかッ! ほら答えてッ!」
「あぁぁん! ひどいぃ、あッ、あッ、そんなの言えない、ティッツァのバカぁ」

 快楽に弱いユウリはとても可愛い。トーキング・ヘッドで無理やりに言わせても良かったが、それだけ聞けたらじゅうぶんだった。
 ティッツァーノは中をえぐる勢いでペニスを抜き差しする。その動きを何度も繰り返すうちに、ペニスの先端にじわじわと熱が集まっていく。もう出るッ、と汗をぬぐうこともせずティッツァーノは言った。

「ユウリ、もう出ますッ! あぁっ、中で出しますよ! いいですねッ」
「あぁぁダメぇぇぇ、中出しだめぇっ、あぁぁん! す、スクアーロぉ!」
「うッ…!!」

 スクアーロ、というユウリの声に共鳴するかのように、ティッツァーノは腰から下を痙攣させて射精した。律動は止めない。何度も何度も、精子を彼女の中に擦り込むように腰を前後させる。

「あぁぁ…マジで出てるぅぅ…。ティッツァ、おちんちん動かすのやめてぇぇ…」
「すいません、止まらなくて」

 生ぬるい水鉄砲みたいにぴゅうぴゅうと射精が続き、それが終わってもティッツァーノのペニスは収まらなかった。じわじわと硬さを取り戻すペニスを膣に感じて、ユウリは「うそぉ」と涙目になった。

「ま、まだ、こんなッ、ふぁぁ!」
「せっかく…ユウリと生ハメできたのに、1回で終わらせたらッ、勿体ないでしょうッ! あぁッ!」

 アイスピックで氷の塊を削るみたいに、強く鋭く腰を打ち付ける。恋人とはまた違うペニスの感覚に、ユウリの全身に甘い痺れが奔る。

「ふぁぁん! あぁん、もぉだめ、イクぅぅ!」
「ユウリ、あぁッ、浮気セックスでイクんですねッ! はぁっ、うぅ…!」
「ああぁぁ、だめぇぇぇっ! もぉイクッ、イっちゃうのぉぉっ!」

 恋人ではない男の首にしがみついて、ユウリは達した。下腹部に鋭い快感が集まって、頭の中が真っ白になる。

「スゴい締め付けッ…!くゥッ、こんなの我慢できません!」
「あぁ…やだぁぁ…また中出しするのぉ…!」
「そうです、あなたの中に出しますよッ! あぁ出るっ! ほら受け止めてッ!!」

 ユウリはわずかに身を強張らせたが、拒絶するすべなど最早なかった。ふたたび最奥に精子を吐き出され、生あたたかいそれを感じる。

「あぁッ…スゴかった…」

 最後の一滴まで出し終えると、ティッツァーノはようやく脱力した。
 その一瞬の隙をユウリは見逃さなかった。突き飛ばす勢いでティッツァーノの下から抜け出し、グローブボックスを開けた。ペニスはあっさりと抜けてしまった。
 ユウリは携帯電話を引っ掴んで、着信履歴の1番上に発信した。呼び出し音はワンコールで恋人の声に切り替わった。

「スクアーロっ!!」
『おう、ユウリ。どうした、今どのへんだ?』
「ティッツァーノとセックスしちゃった!!!」
『は?』
「あーあ…」

 電話口の恋人と、ティッツァーノの声が重なった。
「だからぁ!!」ユウリはヒステリックに続ける。

「ティッツァーノとセックスしちゃったのっ!! スクアーロ、私どうすればいい!?」
『どうしたもこうしたもねェ!!! 今すぐ帰って来い!!』

 スクアーロの怒鳴り声はティッツァーノにも届いた。仮にもヒトの女を寝取っておいて、やれやれといった態度で肩をすくめる。

『ティッツァ!! なに黙ってやがんだ、テメーも来い!!』
「わかってますよ…」

 ユウリを後ろから抱きしめて、寝転ぶように助手席のシートに背を預ける。「きゃっ」というユウリの声と、衣擦れの音が届いたらしく、電話の向こうでスクアーロが『テメーら今なにしてやがんだ!?』と荒ぶっている。

「ティッツァ! ちょっとッ…」
「スクアーロ、大丈夫、もうすこししたら帰りますから」
『今すぐ帰って来いつってんだろ!!!』
「あ〜〜〜もうケンカしないで! 私も悪かったからぁっ!」

 膝の上でジタバタとユウリが暴れるものだから、肌がこすれてペニスがまた大きくなった。スクアーロはまだ何か電話越しに叫んでいたけれど、ティッツァーノはユウリの手から携帯電話を奪い取って、そっと通話を切った。

「ティッツァ…!」

 ユウリは非難めいた声色で男の名を呼んだ。けれど振り返った拍子に熱い唇でキスをされ、もうなにも言えなくなってしまう。

「んッ…!…あ…」
「ユウリ、大丈夫ですよ」

 大丈夫、大丈夫。ちゃんと『もうすこししたら』帰るつもりだ。




2019.05.25
お題「スク&ティツ三角関係の続編、どうしても中出ししたいティッツァで連続生ハメ」
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