「よし、夾くん!上行こう!」

「は?」


思い切ったように私が言うと、夾くんは意味が分からないという顔で見てきた。
いいから、そう言って腕を引く。めんどくさそうにしながら来てくれる夾くん。
そして、私が言ったように屋根の上に来た。


「うわぁ、やっぱり夏って星がキレイだなー」

「…そのためだけに来たのかよ」

「うん!」


ふふ、と笑って星を見上げた。
キラキラと光っていて、小さな光り。大きな光りとさまざまだった。
もう一度夾くんに、キレイだねーと顔を覗き込むように視線を向けると、少し間が空いたけど、小さな声で返事をしてくれた。

たまに吹く風が、凄く気持ちがいい。
そんな気持ちいのいい風の中、夾くんと一緒に星を見てるのが嬉しくて、笑みが零れた。


「そんなに星が見れて嬉しいのか?」

「んー、それだけじゃないかなー」

「…他に何があんだよ」


考えるような顔をした夾くん。
私は夾くんの方に距離を詰めると、顔を真っ赤にして大きな声でなんだよ!と言った。
夾くんの顔を覗き込んで、夾くんと一緒っていうのが嬉しいの、と言うと、さっきよりも真っ赤な顔をして目を逸らされた。



煌めく世界ときみ
(あれ、照れた?)(うっせ)


20110722