「ヒナちゃんんん!」


ドタドタと隣から足音が近づいてきて、勢いよく扉が開いた。
眠たい目を擦って扉に目をやれば、焦っている透ちゃん。
私はおはよーと言うと、しっかりと返ってきた。けれど、それどころじゃない様子で透ちゃんはズイッと動物です!と言った。
あ、うん。動物だね……最後まで言おうとした時、見覚えのある動物たち。

オレンジの猫。小さなネズミ。黒い犬。
……えと、なんで見たことあるんだっけな。
まだ寝惚けている頭でうーんと一生懸命に考えている時、聞き覚えのある声を発した猫。


「お前らまでなっちまったら、言い訳聞かねぇじゃねーか!」

「……おお、この声は夾ちゃんだ!」

「いや、お前反応遅ぇーんだよ!」


シャーッと威嚇するように夾ちゃんは私から、ネズミになった由希ちゃんへと視線を移して口喧嘩をしている様子。
紫呉くんはそれを止めていて、それを見ている透ちゃんは目が点。
そんな透ちゃんに紫呉くんは正直に説明をした。
話が終わろうとしていた時、ボンッと言う音と共にもわもわとした煙が現れた。



「と、透ちゃん!」


目塞がないと!あなたみたいな可愛らしくて、純粋な子には…っ!
そう言おうとした時にはもう間に合わなかった。



草摩家の秘密
(きゃーっ!)(あ、間に合わなかった…)



20110721