「由希ちゃーん!早く帰ろうよー!…あ、透ちゃんだ」


由希ちゃんと下駄箱に行くと、透ちゃんも今帰る様子だった。
だからまた、一緒に帰ろう!と言うとはい、と笑ってくれる透ちゃん。
なんだか今日は楽しいな、とルンルン気分になっていると、透ちゃんと由希ちゃんが二人で話しているのに気付いた。


「猫はバカだ」


突然そんなことを言った由希ちゃん。
……あ、もしかして朝のことかな?透ちゃん、猫になりたいとか言ってたし。
由希ちゃんてばヤキモチ!?
そう声を掛けようと思ったら、スタスタと先に行ってしまう。
私は透ちゃんに謝って、またねと手を振って急いで由希ちゃんを追いかけた。


「由希ちゃん、」

「あ、ごめん」

「なんか怒ってたけど、ヤキモチ?」


へへ、と笑って由希ちゃんの顔を覗き込むと、額をぺちんと叩かれた。
ヤキモチなんかじゃない、とまた怒ったふうに由希ちゃんは言う。


「嘘だ!だって透ちゃん可愛いから、惚れないわけないし」

「……だから、違うって言ってるじゃん」


大きなため息をついた由希ちゃんにムッとして、頬を膨らませた。
すると、ヒナの方こそヤキモチ妬いたんじゃないの?と言いながら、由希ちゃんはニコニコと笑った。



ヤキモチ妬き
(二人だけで話すから寂しかっただけだもん!)


20110720