「…透、ちゃん?」

「す、すみません!勝手に……え、ヒナちゃん!」


さ、学校に行こう。そう思って鞄を持った時、聞いたことある声が聞こえたものだからつい足が動いて声のする方に行くと、紫呉くんの置物を見ている透ちゃんがいた。
ニコニコと笑って十二支の置物を見ている透ちゃん。そんな透ちゃんを見ていると私も笑いたくなって、ふふっと笑った時、紫呉くんが後ろから現れた。


「あれ?ヒナちゃん、こんな所に…って、女の子までいるなんて」

「すみませんんんっ!か、勝手に見させていただいてました…!」


あわあわと焦りだす透ちゃんに、紫呉くんは笑って、どうぞと言った。
私の隣に座った紫呉くんと透ちゃんは、妙に話が弾んでいる様子。
チラリと紫呉くんを見れば、やっぱり鼻の下を伸ばしていた。
……紫呉くん、可愛い子好きだもんなー。と心の中で言っていると、紫呉くんの言葉が途中で途切れた。
由希ちゃんは、透ちゃんに紫呉くんのことで謝ったあと私に気付く。


「ヒナってばこんな所にいたんだ」

「うん。透ちゃんと話してたの」


そのあとは、由希ちゃんの鞄に辞書が二冊入っているだとか、紫呉くんの挨拶だとかをぼんやりと見ていた。
透ちゃんの家を聞いて、微妙な返事をする由希ちゃんに、不思議な顔をする紫呉くん。
その二人の雰囲気に気付いたのか透ちゃんは先に行こうとした。


「あ、それじゃあ私はこれで…」

「待って待って!透ちゃん、一緒に行こうよ!」

「でも、私がいても…」

「いいに決まってるよ!ね、由希ちゃん!」


私がそう言って由希ちゃんを見ると、由希ちゃんも笑ってもちろんと言った。
いってきまーすと紫呉くんに言うと寂しそうにしてたけど、由希ちゃんが腕を引っ張るものだから、そのままバイバイと手を振った。



十二支の置物
(お二人って、一緒に住んでたんですねっ)


20110719
初、フルバ連載!これも逆ハーになっちゃいます、フフ。