一人でいる時、必ず思い出す人がいる。
目を少し細めて、口角を小さく上げて、頬はほんのりと赤い。そんな顔をする時のルカくんを思い出す。
なんだろう。なんだか、そんなルカくんを見てると、胸の奥が温かくなって、思い出すと苦しくなる。私、変な病気にかかっちゃったのかな。

トクントクンと、高鳴る心臓に手を当てて窓の外を見た。
私の部屋からは丁度、動物たちの小屋が見えて、たまにルカくんの姿を見る。
今日もルカくんは小屋に向かっていて、その時の顔は凄く嬉しそうな顔をしている。ルカくんの嬉しそうな顔を見てると、私も嬉しい気持ちになって、いつの間にか立ち上がって、足は小屋の方に向かっていた。


「名前」

「……ペルソナ」


ああ、どうしてこんな時に会うんだろう。
ペルソナは、任務があると言って、手を出してきた。私は小屋をチラリと見て、少しだけ待ってと伝えて、小屋に向かった。

ズキンと心臓が痛くなって、命の残量を知らせるように、息苦しくなった。
なのに、ルカくんの顔を見ると、そんな息苦しさも和らいでしまう。


「名前、どうしたの?」

「ルカくんの顔見たくなっちゃって」


にこりと笑えば、少し顔を赤くして、ルカくんはそっか、と笑った。
それからまた、動物たちと楽しそうにしているルカくんの背中を見て、涙が零れた。
ルカくんはすぐに、泣いている私に気付いて、焦った顔をして近づいてきてくれる。
そっとルカくんの頬に手を添えて、触れるだけのキスをした。


「…大好き」


小さく呟いた私の声が聞こえたようで、目を見開いて手を伸ばしてきたルカくん。
私はその手を握って、ばいばい、と笑った。



頬に涙、唇に愛
彼が私を呼ぶ声が聞こえたけど、私は涙を拭って走った。



20110612