コンコン、と扉をノックするとゆっくりと開いた。
棗は驚いた顔をしたけど、すぐに戻ってなんだよ、と言って部屋の奥に入っていく。
だから私もあとに続いて入った。

「明日、アリス祭だね」
「だからどうした」

私の部屋とそう変わらない広さ。ベッド。
棗が座る隣に私も座って、特力はRPGするんだよと言った。

「蜜柑ね、棗にはぜったいクリアできない!と言ってた」
「……」
「だからさ、それ確かめるために来てよ」

何も言わない棗。だけど、棗はやさしいから来てくれる。
可愛い衣装着るんだよ。お腹見せる衣装だからちょっと恥ずかしいけど。
ごろん、と棗はあっとと返事をしながら転がった。

「昔はよく、ルカくんと三人で並んで座ったよね」

ちょっぴりシンと静まり返った部屋。
そういうことだから来てね、と言って部屋を出て行った。
きっと…ううん、絶対に棗は来てくれる。

あーあ、昔のこと思い出しちゃったら、なんか泣きそうになっちゃった。

制服の袖で目を拭ってまた前を向いて歩き出した。



なつかしい昔のこと
(大切なあの人は)(どこで笑ってますか?)


120224