「蜜柑、気の毒に…」

「仕方ないわよ。こうでもしないと来れなかったんだし」


いいんじゃない、来れただけ。薄く笑う蛍の考えは確かにそうだ。来れないより、来れたるほうがいい。飛田くんは扱き使われる蜜柑を見て、苦笑を零していた。そんな苦笑を零す飛田くんの気持ちも分かるし…。
前の席に座る日向くんとルカくんを見た。よーちゃんは座席に隠れて見えないけど、きっと膝の上にいるんだろうな。
ていうか、奴隷って言ったのに日向くんは全然扱き使ってないって所が不思議だ。逆にスミレたちが扱き使ってる。


セントラルタウンでバスが止まると、みんなわいわいとしながら行った。
私も行こうと蛍と飛田くんの後を追おうとすると、ぐいっと袖が引っ張られてそのまま足が数歩後ろに行って何かにぶつかった。


「…あ、ごめん!」


ぶつかった相手が日向くんだって分かって、すぐに退いてもう一度足を進めようとした時、やっぱり袖を引っ張られているのに気付いて袖を掴む手を辿ってみると、よーちゃんが引っ張っていた。
どうしたの?と聞いても返事をしないで離さない。代わりに手を出してきたから、そのまま抱っこをすることになった。


「え、これって一緒に行くパターン?」

「知るか」

「きっとあいりとも行きたかったんだよ」


どんどん先に行ってしまう日向くんとルカくんをよーちゃんは指差した。
やっぱり一緒なパターンか、と納得して急いで二人を追いかけると、ルカくんが疲れるだろうから俺が代わるよとよーちゃんを抱っこしてくれる。ルカくんってやっぱり紳士だなぁ。



4人で買い物
(ホワロン買いに行かない?)


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