私は彼女の前に跪き、そして懺悔した。年老いた私はまだ若い彼女にこう言う。「君を愛していた。」と。彼女は俯き、頷いて、そして私の頬に触れた。冷たい。「もういいの。もういいのよ。」その声はまるで、慟哭だ。
突き上げる細身の身体。吐き出される熱い息と、吐瀉物にアナタは「キモチイイ」と恍惚な顔をして言った。嗚呼、綺麗。綺麗。嗚呼、嗚呼。嗚呼。骨の浮く指先。脈打つ首筋。その心臓ですら「全部僕に、ちょうだい。」
ドロリ。ラベルの貼られた小瓶に突っ込んだ人差し指は、真っ赤に染まったジャムを纏った。青白く、長細い其れと苺味のジャムのコントラストは酷く美しい。しかしその赤は、唾液を含んで彼の胃の中に消えた。ペロリ。
「やあやあ、またお会い出来ましたね。今日は一段とお綺麗で。いえ、滅相も無い。本心ですよ?私はそれ程嘘が上手ではありませんので。それよりどちらへ?そうですか。あの世ですか。それはそれは、お気を付けて。」
指先を這う舌をあなたの眼球が追いかける。手のひらから指の谷間を丹念に舐めて、僕はあなたに跪いて笑った。ああ、思い出した。落ちたのは、僕だ。殺したいほど愛したのは、僕だ。そうだ、あなたを殺すのは、僕だ。