「それでね、ツナ君本当に剣道部の持田先輩を倒しちゃったの!ただ者じゃないって感じ!」

ワーオ、知らない間に原作突入してたんかい。

楽しそうに話す京子を前に、場違いなことをぼんやりと思った。

京子とは、了平と同様に交流を続けている。異性だがそういった感情は互いになく、兄妹のような関係だ。
というか、本当に『恭お兄ちゃん』って呼んでくるんだよねこの天使。

小学生のときはまだいいかなって思ったけど、中二にもなってその呼び方されるのは僕が恥ずかしい。とても。僕が。

だけどキラキラした笑顔で呼んでくるものだから、いまだにやめてくれとは言えていない。ヘタレ?なんとでも言え。

そんなこんなで、京子とは校内で会ったらちょっと話したりもする。
学年一つ違うからあんまり会わないんだけど、というか僕が避けてるけど。
いや、だってさ、不良番長みたいな僕と関わってるって知れたら京子が危ない目に遭うかもしれないし。

でもバッタリ会って『恭お兄ちゃん』って嬉しそうに呼びながら微笑む天使見たら『は〜い恭お兄ちゃんだよ〜』って言いながら駆けつけるしかない。
いや、言ってないけど。言ってないけどね。

とりあえず京子の話を聞いての感想は、『京子に付きまとってる勘違い乙ストーカー男が居なくなってよかったね』と『沢田よくやった』という気持ちだ。

「そのツナって奴、了平が知ったら真っ先にボクシング部に勧誘しそうだね」

当たり障りないことを言いながら考える。


____原作キャラと全く関わらず生きるのって無理ゲーじゃね?…と。


奴ら、コミュ力高すぎるんだよな。
というか、もう既に笹川兄妹とは仲良くなっちゃってるし。

雲雀恭弥が沢田達と接触したのはリボーンが興味を持ったことがキッカケだった。

そうだ、僕は校内でトンファーを振り回したり気に入らない奴をぶちのめしたりしていない。うん。授業も出てる。真面目な生徒だ。

全然目立ってない。全く目立ってない。全校生徒のほとんどが僕のことを知ってるだなんてことは全くない。不良を従えている風紀委員長が居るって恐れられているなんてことは本当に全く全然ないんだからね。


そう思い込んでも事実は変わらなかった。
泣いた。

相変わらず、廊下を歩けば生徒が避けて道ができ、学ランを着たリーゼントに会うたびに「委員長!こんにちは!」と、90度でお辞儀をしながら大声で挨拶をされる日々が続いている。

人生やり直したい。

目の前で微笑む京子。
この子経由で沢田達と接触する可能性もあるのだと思うと、複雑な気持ちになった。


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