一人対六人デート(1/2)




 
 
 
「さ、行こうか」

『はあ』



それは遡ること、遡ること、というかついさっきの事だった。








小松田さんと掃き掃除をしている時、奴らはやって来た。



「こんにちは」

『………どうも』



軽く頭を下げるが、どうやら通りすがりの挨拶ではなさそうだ。服の色が深緑ということは、六年生か。お前ら勉強してろよ十五才っつったら受験生だろ。ていうか忍者って受験あるのか?



「天女様、午後は暇だろう?」



嫌味か。



嫌味だろサラサラ野郎。



私に友達いないの知っててそれか。お前はぼっちで自分たちはグループって自慢したいんですかそうですか。ぼっちの私に仲良しアピールですかそうですか。



「我々と町に行かないか?」

『あ、結構で』

「そうか、よかった。では昼餉の後に門で待っている」



聞けよ。



お断りの台詞を聞けよ。



「天女様遅れちゃ駄目だぞ!天女様はトロいからな!わははっ」



うるせぇっ!



私はトロいんじゃなくて、霊共にちょっかい出されてんだよ!察せよ!はい無理ですねすいません!



「天女様も町へは行きたかっただろ?」



何なんだよ!何で町に連れて行きたがるんだ!一体町に何があるんだ!とりあえずアンタは町なんか行かないで、昼寝でもしてろよ!そしてその隈を取れよ!怖いんだよ!



うううぅくそおおぉぉぉっ!断れなかった自分畜生ぉぉぉっ!!



あれから、何故か私は結局この人達と昼ご飯を一緒に食べて、何故か手を繋いで門まで来てしまった。



え、何で手握ってんの?











* * *












「あっ、この簪なんか天女様に似合うんじゃない?」

「……もそ、よく似合っている」

『…………』



何だ、一体何なんだ。



何故か手を繋いだまま学園を出発し、何故か六年生の忍たま達と交互に手を繋ぎ、何故か一人の忍たまと手を繋いで歩いていたら二人同時に石に躓いて転び、何故かよく分からない店で簪をアレやコレやと頭にあてられている。



何だ、一体何なんだ。


 
六年生の忍たま達は、簪だけでは飽きたらず、この時代の女の子が好きそうな小物やら何やらを手に取り、似合う似合わないと騒いでいる。



お前ら女子か。



それからしばらくの間、色々な店へ連れ回された。何ていうか、女の子っぽい店が多かった。何で男の忍たま達が、簪とか小物とかそんな物を欲しがってんの?



お前ら乙女か。



時計がないので断定できないが、おそらく午後の三時頃、六年生の忍たまの一人が甘味屋に行こうと言い出した。



こうなりゃ最後まで付き合ってやるよ。男の君達が女の子の趣味があった事は衝撃的だったし、さっさと帰りたいのは山々だけど、誘いを断れなかったのは私だ。






けど、一つ言わせてくれ。






君達、七人いるんだけど、一人多いの気付いてます?



 







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