盛りまくれ、塩!(1/5)




 
 
 
忍術学園という謎の学校に住む事になりました、坂吉卑弥子です。



笑顔に騙されて連れて逝かれそうになったりしましたが、今のところ生きてます、まだ。



早く助けに来て下さいお願いします。兄貴の事だから分かってるんですよね?もう既に知ってるんですよね?助ける準備をしてるんですよね?



あなたの妹の卑弥子は、今は数珠を付けられないので早く助けに来て下さい。待っています。待ってるから早く来い。つか今来い。今、今。



ていうか、もう付けていいよねコレ。明日こそは外すから今付けてていいよね?ちょっと危険過ぎて対処出来ない。



卑弥子が鞄から数珠を取り出すと、そのまま腕に通す。



見た目はただのブレスレットにしか見えないので、もの凄く助かる。数珠付けてる女子って、流石にちょっと……。ホント兄貴ってばセンス良いんだから。



案内された部屋に座って、未だ混乱する頭をフル回転させていると「失礼します」という声が聞こえたような聞こえなかったような。



うん、気のせいだな。







そんな事より、ここ一体どこなんだろ。違う世界とかよく分かんないんだけど。つか昔っぽいよね。この学校もだけど、忍者とか言ってる時点で古いよね色々。何時代?みたいな。




あ、もしかして過去?




「あの、天女様?」

『え?』




あれ、いつからいたのこの人ら。



いつの間にか部屋の中に入って来ていた六人。今度の忍者は群青色だ。



アッチか、アッチの住人か?





よし、見えてない振りしよう。





『私見えてないから』

「何をですか?」





やべ、話かけてきた。





よし、知らない振りしよう。





『私聞こえてないから』

「聞こえてますよね」





うっそ、バレた。



なんでバレた、いつバレた。





『………あ、』



ああもうダメだ、目ぇ合った。



「こんにちは天女様」

「土井先生から聞いてると思いますが、僕達五年生が担当になりましたのでよろしくお願いします」

『はあ、そうなんですね』



何の話?



担当って何?



もしかして病人扱いしてんの?


 
ていうか、何で幽霊に病人扱いされないといけないの。舐めてんのか。ちょっと死んでるからって舐めてんのか。



「基本、二人一組みで日替わりで担当しますので、何かあったら遠慮なく言って下さいね」

「今日は私達だから、用があったら呼んでくれ。天女様のためなら、何処にいてもすぐ駆けつけるさ」

『はあ、そうなんですね』



何かあったら?何かするのはお前らだろ。つか誰だよこの双子。そして双子の片方が、さり気なく私の手を握って微笑んでる。なんで笑ってんだよ。絶対これ私の隙をついて連れて逝く気だ。やだこわい双子こわい。



「天女様?」

「どうかしたのか?」

『いや、特にありません。というより何の話ですか誰ですか何で手握ってるんですか』




「え」
「は」




あれ、双子のクセにハモってない。双子って全部一緒になるもんだと思ってたけど、違うんだね。へー。



「すいません天女様。ほら三郎、天女様が吃驚してるから手を離してあげて」



後ろの方にいたサラッサラな黒髪の少年が、私の手を握っている双子の片方を遠ざけようとする。



何がどうなってんだ。



つかこの6人、人だ。



よく見たらみんな影あるし、こいつは触れれてるし。



そんな事を考えながらボーっと成り行きを見ていると、バチッという音と「うわっ」と言う声が聞こえる。



「三郎ー、お前静電気起こすなよなー」

「失礼な。良太郎が起こしたんじゃないのか?」



どうやら私の手を握ってる奴を退けようと触ったら、静電気が起きたらしい。



静電気なんて珍しい現象じゃないだろ。女子みたいにキャーキャー騒ぐな。どうでもいいから手離せ。



双子の片方と黒髪のサラッサラ少年がまだ静電気ネタを楽しげに話していたので、握られていた手をサッと引っ込める。



「あ、」

『へ』



双子の片方が会話をやめ、手を引っ込めた私に振り返る。



え、なに。



こっち見なくていいよ。そのサラッサラ少年と話してなよ。出来ればここじゃない余所で。



『あのどこの誰だか知りませんけどっていうかここの生徒さんだと思いますけど、和気藹々なお喋りなら余所でしたらどうですかっていうか余所でして下さい』



一体何しに来たのか分からないけど、用がないならどっか行って欲しい。というか塩盛りたいから去れ。



「天女様、俺達知らないのー?」


 
六人の中で一番ニコニコ笑っていた少年が、不思議そうに聞いてくる。



『わー、髪すご……あ、すいません。知りませんけど何か問題でも?』



ほんの数秒の間があり、再び六人が笑顔になる。だから何で笑うの?こわっ。



「知らなかったんだ、ゴメンネ」

「じゃあ、自己紹介するか」



どこか白々しいような、棘のあるような言い方をされ、六人の自己紹介が始まった。




 








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