媚びよ、上級生!(1/9)




 
 
 
潮江 文次郎の場合。



「いや、ですから、俺と町へ」

『あ、塩ですか?確かに欲しいですけど今一番欲しいのは睡眠です。同志ってわかったんで、そんなまどろっこしい言い方しなくていいですよ若干ウザいんで』

「え、………え?」

『それじゃあ用があるので失礼します。もりもり君はいつでも貸しますから』

「え?」






名前は聞かなかったが、初めて同じタイプの人を見た。さぞ毎日霊共に悩まされているのだろう。あんなドス黒い隈なんて私もつくったことないぞマジで。



もういやホント、兄貴……いやお兄様のお陰でございますハイ。あの人はお兄様のような御方に巡り会えなかったんでしょうね、ハハどんまい。



今度会ったらもりもり君を貸してあげよう。なんか謙虚そうだったし。でも顔は結構濃かったけど。もしかして、隈って顔の濃さに比例するのだろうか。



ああ、だから私の隈は控え目なのか。どうせ平凡で地味なブスですから。



そうそう、あと貧乳……っておいコラ。誰だ今貧乳とか抜かしたヤツ。



あ、貴方ですかそうですか。じゃあ霊なんで歯はないと思いますけど歯ァ食いしばれ。



私は塩を思いっ切り投げつけた。



ハッ、ざまあ!!!









* * *









 
おかしい。



何かがおかしい。



まず、まずは聞きたい。もりもり君ってのは誰だ。忍たまにもりもりって名前の奴はいないだろ!誰だよもりもり君って!!



あだ名か?もりもりって言うあだ名か?誰だよもりもり君って!!



あれか、名前に“も”が付いてる奴のあだ名かもしれない。そうだきっとそうだ。



えーっと、六年い組が立花仙蔵に潮江文次郎の俺、六年ろ組が中在家…………って俺じゃねぇか!“も”が付く名前って俺じゃねぇか!俺かよもりもり君って!!



いや落ち着け、俺に俺を貸すってどういうことだ。大丈夫もりもり君は俺じゃない。



大体、文次郎って名前をどうしたらもりもり君になるんだ。



文次郎文次郎文次郎文次郎もんじろうもんじろうもんじろうもんじもんじもんじもんじもじもじもじもじもじもじもりもり…………。



もりもりだぁぁあああっ!!!



俺もりもりだぁぁあああっ!!!



俺天女にもりもり君って呼ばれてんのか!!嘘だろっ?!学園一ギンギンに忍者してる俺がもりもり君って呼ばれてんのか!!



あ、待てよ。もしかして筋肉もりもりって意味のもりもり君か?そうなのか?いや、きっとそうだ!!



俺はとりあえず、次こそ天女を町へ誘おうと思いました。



………ん?作文?




 








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