異世界娘とバイ菌まん 『……甘い、味もある』 喋るアンパンと遭遇してしばらく経過した。今は昼間のようで、ちゃんと太陽の暖かさもあるし、地面を踏みしめる感触もある。 おまけに、リンゴの木があったので試しに食べてみたのだが………、 甘味もあるし、今まで食べてきたリンゴと何ら変わらない歯応えである。 『変な夢ね』 蹴り飛ばされた時の打ち所が悪かったのかしら、ちゃんと受け身はとったのに。 木の上でシャクシャクとリンゴを食べていると、空をふわふわと飛ぶ“何か”が目に入った。 『あら、アレは何かしら』 目を凝らして見てみると、宇宙船のような形をした物体が飛んでいた。 『UFO………初めて見た』 柄にもなく好奇心が膨れ上がった私は、木をピョンピョンと飛び移りながらUFOに近付いた。 * * * ダンッ!!!! 「うわぁぁぁっ?!!」 近くの木まで飛び移り、一気にUFOに飛び乗った。 『ねぇアナタ宇宙人?』 「ななな、なんだなんだっ?!」 『ねぇアナタ宇宙人?』 二本の触角を生やした黒い物体は、UFOの中でバタバタと暴れている。 「なっなんだお前はっ!?」 『ねぇアナタ宇宙人?』 二本の触角が生えた黒い物体は「降りろ」と騒ぎながら、UFOをゆらゆらと揺らして私を落とそうとしている。 「おれ様のUFOから降りろぉぉぉぉぉ!!!」 『ねぇアナタ宇宙人?』 ブンブンと激しく揺れ動くが、私にとっては全く無意味だ。というかこの宇宙人の言葉がわかる。私すごい。さすが私。 (ねぇアナタ宇宙人?) (離れろぉぉぉぉぉ!!!) (ねぇアナタビーム出せる?) 相手の話は聞きません。 ‖ |