異世界娘と餡パンマン



 
 
 
『………ん、』



リルダが目を覚ますと、見た事のない森の中にいた。



『あら、ここどこかしら』



兄さんに蹴り飛ばされて、敷地内の森まで飛んで来たのは覚えてるのに。おかしいわね。そもそも何で蹴らなきゃならないのかしら、あの人弟の事しか頭にないから本当に困ったものね。



『……人の気配もないし、困ったわねぇ』



うーん、と悩んでいるとチラリと自分の体が目に入る。



あれ、なんか、サイズが、縮んでないコレ?



そっと胸に手を当てると、自慢のダイナマイトボインがなくなっている。



ウソでしょ、そんな、まさか……





『ぎゃああああああっ!!!?』



自分らしくもなく大絶叫すると、どこからともなく甘い香りがフワリと鼻をくすぐった。



「どうしたの?大丈夫?」

『っ!!』



何、こいつ。



何の気配もなかった。



戦闘態勢を取り、ゆっくりと振り返るとそこには…………、












『え、パン?』

「こんにちは、僕、アンパンマンです」

『え、アンパン?』

「きみの名前は?」



パンが立って喋ってる。

パンが立って喋ってる。

パンが立って喋ってる。






『………そうか夢か』

「?」



私は、くるりと反転して森の中へ入って行った。喋るパンが何か言っていたけど無視だ無視。











(とりあえず散策しようか)
とりあえず現実逃避。