泣いたカラクリ (3)

 
 
 



数年後、風の噂で聞いた。





とあるくの一の色に溺れた、とある城の殿様がいる、と。






とあるくの一は、必要な事以外は喋ることなく常に無表情で、まるでカラクリのようだと。






しかし、そのとあるくの一は、情事の時のみ恐ろしく妖艶になり、全ての男共を魅了したと。





そして、その色香に惑わされたとある城の殿様が狂った、と。






とある城の殿様は、思い通りにならぬとあるくの一を殺したと。






とある城の殿様は、殺したとあるくの一を剥製にし、毎晩それと行為をしていると。












ああ、剥製にされた彼女は、きっとあの無表情のままだろう。













泣いたカラクリ

彼女は永遠に愛する事を知れない

(笑った顔が見てみたかった)
(怒った顔が見てみたかった)
(照れた顔が見てみたかった)

彼女のあの悲しげな表情が
あの儚げな微笑みが
まだ忘れられない


 


 
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