ヒトメボレ (2)

 
 
 
――――カランカラン、



「いらっしゃい」



ナマエは目当ての男がいる席まで向かう。



『隣りいいかしら?』



運良くカウンターで料理を食べている彼。



「ん、どーぞ」



オレンジの帽子をかぶり、上半身は裸。



背中には有名な“白ひげ”のタトゥー。



普通なら皆は一歩引く存在であろうが、タイプの男なんだから関係ない。



『1人で旅を?』

「まあ。人探しなんで」



オレンジの帽子の彼は黙々と料理を食べる。



すでに食べ終わった皿は山のように積まれている。



『あたしも1人なの。…ご一緒して構わない?』

「……んぐ?」

「はい、お待ちどォ!」



タイミング良く注文した料理が出される。



ナマエは料理を一口食べると、彼の方を向く。



『あたしはナマエ。火の国出身なの』



彼は初めてナマエの方へ振り向いた。



『あなた…火拳のエースさんですよね?』



エースは食べるのを止め、この謎の女を警戒した。



しかし、振り向いて初めて女を見た瞬間見惚れてしまった。



艶やかな長い黒髪に、それと対照的な紅い瞳。



フェロモンとかいうやつにやられた感じだった。



 


 
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