――――カランカラン、
「いらっしゃい」
ナマエは目当ての男がいる席まで向かう。
『隣りいいかしら?』
運良くカウンターで料理を食べている彼。
「ん、どーぞ」
オレンジの帽子をかぶり、上半身は裸。
背中には有名な“白ひげ”のタトゥー。
普通なら皆は一歩引く存在であろうが、タイプの男なんだから関係ない。
『1人で旅を?』
「まあ。人探しなんで」
オレンジの帽子の彼は黙々と料理を食べる。
すでに食べ終わった皿は山のように積まれている。
『あたしも1人なの。…ご一緒して構わない?』
「……んぐ?」
「はい、お待ちどォ!」
タイミング良く注文した料理が出される。
ナマエは料理を一口食べると、彼の方を向く。
『あたしはナマエ。火の国出身なの』
彼は初めてナマエの方へ振り向いた。
『あなた…火拳のエースさんですよね?』
エースは食べるのを止め、この謎の女を警戒した。
しかし、振り向いて初めて女を見た瞬間見惚れてしまった。
艶やかな長い黒髪に、それと対照的な紅い瞳。
フェロモンとかいうやつにやられた感じだった。