とある町の、とある食事処。
いつもの場所で待つ彼女へ会いに行く。
………いた。
人目につかない場所で、私を待っている彼女。きょろきょろとしていた彼女が私を見つけ、笑顔で手を振っている。可愛いでしょ?私の名前ちゃん可愛い過ぎるでしょ?もうね、おじさん参っちゃうよ可愛い過ぎて。
「ごめんね、遅くなっちゃった」
『いいんですよ。私昆奈さんを待つの好きですから』
聞いた?聞いた今の。私を待つのが好きなんだって。可愛いでしょ?可愛い過ぎるでしょ?私の名前ちゃん可愛い過ぎるでしょ?
もう好き。大好き。
『はい!今日の雑炊です』
名前ちゃんから雑炊入りの竹筒を受け取る。まだほんのりと温かい。
『今日も昆奈さんに美味しく食べて貰えるように、愛情たっぷり入れましたからね!』
見た?見た今の。可愛いでしょ?絶対この子おじさんを殺しにかかってるよね?もうおじさん名前ちゃんが可愛い過ぎて死んじゃいそう。この照れた感じとか可愛い過ぎない?
もう可愛い好き。大好き。
「ありがとう」と名前ちゃんの頭を撫でると、えへへと嬉しそうに微笑む。ああもう可愛い。
「ごめんね、職業的に表立った逢瀬ができなくて」
忍者という職業である上、少しばかり名のある私は、この特徴的な見た目が知れ渡り過ぎている。
『いいんです。逢瀬なんてわがまま言いませんよ。昆奈さんが私の作った雑炊を食べてくれるだけで幸せなんです』
きゅん。
名前ちゃんが私の心臓をいじめる。
『それに、こうやって隠れて会ってるのも立派な逢瀬でしょ?ふふふ』
きゅんきゅん。
名前ちゃんが私の心臓をいじめる助けて。
それにしても、いつになったら名前ちゃんは私の事を「昆奈門さん」って呼んでくれるの?焦らしてるの?もう名前ちゃんの策士!!
「ねぇ名前ちゃん。私の事は昆奈門って呼んでよ」
『でも昆奈さんの方が呼びやすいし……』
「えー、そう?」
逆に呼びにくいような気もするけど、名前ちゃんの「昆奈さん」って言い方可愛いからいいや。
「そろそろ行かなきゃ、」
『そうですか……』
あ、しゅんってなってる。
もう可愛い好き。大好き。
タソガレドキ城を抜け出してから一刻ほど経ったし、そろそろ尊奈門が気付いて忍術学園に向かった頃だろう。
さて、私も出発しよう。保健委員の子達にも会いたいしね。
『あ、昆奈さん!』
「ん?」
名前ちゃんを「じゃあね」と軽く抱き締めた後、去ろうとする私の忍装束を彼女がくいっと引っ張った。
『いつか、私を雑渡にしてくださいね。……待ってますから』
あ、死んだ。私の心臓死んだ。
待ってますから
(名前ちゃん好き好き大好き)
(もう昆奈さん恥ずかしい……)
(もう一回ギュッてしたい)
苗字なんてすぐにあげる
―――――キリトリ―――――
白餡様!
お待たせ致しました!リクエストの雑渡さんの甘いお話です(*^^*)あまり甘い感じにならなくて本当すみません(泣)雑渡さんは初書きだったので、私も楽しかったです!この度は相互ありがとうございました!
※白餡様のみお持ち帰り可。