待ってますから (2)

 
 
 
とある町の、とある食事処。



いつもの場所で待つ彼女へ会いに行く。



………いた。



人目につかない場所で、私を待っている彼女。きょろきょろとしていた彼女が私を見つけ、笑顔で手を振っている。可愛いでしょ?私の名前ちゃん可愛い過ぎるでしょ?もうね、おじさん参っちゃうよ可愛い過ぎて。



「ごめんね、遅くなっちゃった」

『いいんですよ。私昆奈さんを待つの好きですから』



聞いた?聞いた今の。私を待つのが好きなんだって。可愛いでしょ?可愛い過ぎるでしょ?私の名前ちゃん可愛い過ぎるでしょ?



もう好き。大好き。



『はい!今日の雑炊です』



名前ちゃんから雑炊入りの竹筒を受け取る。まだほんのりと温かい。



『今日も昆奈さんに美味しく食べて貰えるように、愛情たっぷり入れましたからね!』



見た?見た今の。可愛いでしょ?絶対この子おじさんを殺しにかかってるよね?もうおじさん名前ちゃんが可愛い過ぎて死んじゃいそう。この照れた感じとか可愛い過ぎない?



もう可愛い好き。大好き。



「ありがとう」と名前ちゃんの頭を撫でると、えへへと嬉しそうに微笑む。ああもう可愛い。



「ごめんね、職業的に表立った逢瀬ができなくて」



忍者という職業である上、少しばかり名のある私は、この特徴的な見た目が知れ渡り過ぎている。



『いいんです。逢瀬なんてわがまま言いませんよ。昆奈さんが私の作った雑炊を食べてくれるだけで幸せなんです』



きゅん。



名前ちゃんが私の心臓をいじめる。



『それに、こうやって隠れて会ってるのも立派な逢瀬でしょ?ふふふ』



きゅんきゅん。



名前ちゃんが私の心臓をいじめる助けて。



それにしても、いつになったら名前ちゃんは私の事を「昆奈門さん」って呼んでくれるの?焦らしてるの?もう名前ちゃんの策士!!


 
「ねぇ名前ちゃん。私の事は昆奈門って呼んでよ」

『でも昆奈さんの方が呼びやすいし……』

「えー、そう?」



逆に呼びにくいような気もするけど、名前ちゃんの「昆奈さん」って言い方可愛いからいいや。



「そろそろ行かなきゃ、」

『そうですか……』



あ、しゅんってなってる。



もう可愛い好き。大好き。



タソガレドキ城を抜け出してから一刻ほど経ったし、そろそろ尊奈門が気付いて忍術学園に向かった頃だろう。



さて、私も出発しよう。保健委員の子達にも会いたいしね。



『あ、昆奈さん!』

「ん?」



名前ちゃんを「じゃあね」と軽く抱き締めた後、去ろうとする私の忍装束を彼女がくいっと引っ張った。







『いつか、私を雑渡にしてくださいね。……待ってますから』






あ、死んだ。私の心臓死んだ。







待ってますから

(名前ちゃん好き好き大好き)
(もう昆奈さん恥ずかしい……)
(もう一回ギュッてしたい)

苗字なんてすぐにあげる



 
―――――キリトリ―――――

白餡様!
お待たせ致しました!リクエストの雑渡さんの甘いお話です(*^^*)あまり甘い感じにならなくて本当すみません(泣)雑渡さんは初書きだったので、私も楽しかったです!この度は相互ありがとうございました!


※白餡様のみお持ち帰り可。

 


 
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