カイルと話し終えた後、厨房でせっせと朝食作りに勤しむ。


その後暫くして、起きてきたスカーレルとソノラのつまみ食いを阻止し、邪魔にならない場所までヤードに連行してもらった。
だが、脱走に成功した二人がまたつまみ食いに来たのは……言うまでもないか。

更に朝食が完成に近付くにつれ、匂いに釣られてか、気絶させ……眠らせたレックスとアティも起きてきた。



「へえ、ユキがご飯を作ってるんだ?」
「ああ。料理とか家事全般が、船での俺の役割なんだよ」
「ユキの手料理なんて、学生の頃以来ですね♪」
「あぁー、そりゃそうか。ふっふっふ、あの頃の俺とは更に一味違うんだぜ」
「楽しみだな〜っ♪」
「こら、はしゃぐんじゃねーよ。そろそろ出来るから、子供達を起こしてきてくれよ」
「「はーい♪」」



二人は軽やかな足取りで、生徒達を起こしに行った。
まったく、とれだけ楽しみなんだか。まあ、悪い気はしないけどさ。


少ない材料でも味を落とさず、食べ応えのあるものを作るのはなかなか難しい。
加えて、うちの連中は年中食べ盛りみたいなものなので、量が少ないとすぐに争奪戦が始まるのだ。

さて、出来栄えは今日も上々。
あとは、あのお坊ちゃんお嬢ちゃん達の口に合うといいんだけど。



完成した料理を船内の食堂に運び込んでいると、次第にみんなが集まって来た。
後で呼ぶと言っておいたカイルも、待ち切れないとばかりに既に席に着いていた。


料理を全て運び終えた頃には、全員集合済みだった。

結構気合いを入れて作った朝食は、かなり好評のようである。



「美味し〜っ♪ やっぱユキの料理が一番だね。あ、兄貴それ食べないんなら貰うね」
「あっ、テメッ!?最後に食べようと思って取っておいたのによ〜っ!!」
「あ〜、ほらほら、俺の分けてやるから落ち着けカイル。ソノラ、人の物取んなっていつも言ってんだろ?」
「ユキ〜、アタシはニンジンいらないっていつも言ってるじゃない。センセ、これアタシからの贈り物ってことで……」
「スカーレル、好き嫌いすんな。ちゃんと自分で食べろよ、ニンジンは(多分)美容にいいぞ」
「そうですよスカーレル。アティさん、レックスさん、代わりに私のニンジンを差し上げます」
「お前もかヤード。どさくさに紛れようとしても、その手は通用しねーからな」



いつものごとく、賑やかで騒がしい食卓。

ったく、客人の前なんだから、少しは落ち着いて食べようって気にはならんのかお前らは。



「悪いな、いつもこんな感じさ。まあ、騒がしいけど許してやってくれ」
「いやぁ、賑やかで楽しいじゃないか。でもやっぱり、どこにいても、ユキはユキだね?」
「何だかんだ言いながら、ちゃんとみんなの面倒見てるじゃないですか♪」
「そりゃまあ、学生時代の誰かさん達みたいに手を焼かせてくれるからな」
「むむっ、それって俺達のこと?」
「あれ、自覚あったんだ?」
「む〜っ、酷いですっ!」



頬を膨らませてむくれる二人を見て笑いながら、俺達は朝食を終えた。






朝食後暫くして、俺達の事情を説明し終え、当面の目標を相談する。

結果として、まずは島を探索してみることになった。
船の修理に使えそうな資材の収集は勿論のこと、実はこの島に流れ着く時、島の中に四つの光を見つけたらしい。

取り敢えず、それらしき場所を一通り回ってみようということで話が纏まる?
もしそれが人の住む所なら、案外早く島を出られるかもしれない。


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