学園嵐ヶ丘 | ナノ


「おはよう、セシリア!」
「ええ!おはよう薫」


焦げ臭いリビングに顔を顰め鼻を摘まんで
フライパンを持つセシリアに挨拶をする
セシリアは何故料理をしたがるのか
嗅覚や味覚がおかしいわけではなく自分が作った
スコーンを食べて悶絶する姿を私は昨日見ている

真っ黒な卵焼きらしきものとほぼ炭なパン
インスタントのスープだけは綺麗にできている


「セ、セシリア?無理に朝ご飯作らなくても」
「いいえ!ダメよ!朝ごはんは人間にとって一番
大事なごはんだってアルテミシアが言ってたもの」


「ア、アルテミシア様が・・・、」


セシリアの作った朝食らしき物を食べて制服に着替える
セシリアは嵐ヶ丘学園の制服を着ているが
ここの生徒では無いらしい、悪いことをしてしまい
学園に匿ってもらっているらしい


「セシリア、今日は私、生徒会だから帰りは遅くなるよ」
「そうなの?でも19時には帰ってくるのよね?」
「うん、でも交流会が近いから会議が伸びるかも」
「そう、わかったわ」


セシリアもせっかく学園にいるのだから学園生活を
楽しむためにも授業などに出ればいいのにと聞いたが
もう学園生活を楽しむ歳でもないと言って断られた
見た目は少女だが発言の所々年寄りみたいだ


「じゃあ行ってくるねセシリア」
「ええ!いってらっしゃい!」


セシリアに見送られ寮を出ると綺麗な黒髪に紫の瞳の
少女がこちらを見ていた


「真理子先輩!おはようございます!」
「おはよう、薫、あまり顔色良くないけど大丈夫?」
「あ、いえ、朝食作るの失敗して・・・、」
「あら、もうご飯食べたの?私はこれから食堂にいくから
誘おうと思ったのに、薫は自炊派なのね」


確かにこの学園には食堂があり学生はそこで朝昼晩と
ご飯を食べることになる
見た目はレストランで、メニューがおいてあり
生徒達はそれを見て今日のご飯を選ぶのだが
どれも高級レストランで修行を受けたシェフが作る料理で
絶品でありさすが超名門お金持ち学校といったところだ


「朝食は無理でもお茶はどうかしら?」
「はい!是非!」


真理子先輩と学園には慣れたか?などといった世間話をし
鐘がなる頃には沢山いた生徒は教室を目指し消えていった


「さて、私たちも戻りましょう、薫は今日特別授業よね?」
「はい!なのでSクラスになります!」
「イヴァラータ軍の看護希望なのは何故かしら?」
「昔イヴァラータの戦争の本を読んで、死者の中には
助かる命もあったのに救護が足らずに亡くなった人もいると
書かれていて、それが幼いながらに衝撃的だったんです」

「そうね、今もイヴァラータ含むいろんな国は医者や看護師
が足りてないものね・・・、薫の両親はお医者様なんでしょう?」

「はい、なのでイヴァラータの看護になるのは協力的なんです」


私の両親は本当の両親ではなく、私は養子なのだ
本当はイヴァラータの孤児にいたらしくそれを知ったのは
中学の頃だった、私は小学5年の頃に日本へきて今の両親に会った
高校に上がると同時に嵐ヶ丘に入学した
エスカレーター式の嵐ヶ丘の生徒から見れば私のような途中で
入学してくる生徒は珍しいらしく最初はよく声をかけられた


「じゃあ篠の同じクラスだから、篠の事頼むわね」
「真理子先輩はSクラスじゃないんですか?」
「ええ、今日は数学の単位とらないとヤバイの」
「そうなんですね、わかりました」


「ああ、あと、薫、今日転校生が二人来るのだけれども
気を付けてね、二人、現役のイヴァラータの軍人だから」


転校生・・・、もう五月が終わる頃に転校生とは珍しい
そう思いながらも真理子先輩と別れてSクラスへと向かう



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