ピチャンと言う水の音と共に視界が暗くなる
誰かの歌声が聞こえる、綺麗な澄んだ歌声だ
まるで海の中にいるような音が激しくなり息苦しさが続く息が出来ない
ああ、私は嘘なんかついてない、皆いるのになんで誰も見えないの・・・、
一人ぼっちの私に声をかけてくれるし触れれる・・・、
でも私にしか見えないし私にしか触れれない・・・、私が病気なんだと
決め付けて皆を幻覚だと言う・・・、
ザパァッと誰かに海の中から引っ張られた感覚に慌てて目を開ける
「大丈夫?」
「・・・・、え?」
目の前には先生達ではなく、一人の青年が首を傾げて立っていた
慌てて起き上がるとふさふさした草原が広がっており
周りをキョロキョロ見渡すと少し遠いところに町と三本の
空を越える塔が見えた、反対側は海で、さっきの海の中の感覚を思い出し
慌てて服を触るもどこも濡れてはいなかった
「ねえ、大丈夫?」
「私・・・、」
「こんな所で転がってたら危ないよ?モンスターだって出るんだから」
「す、すみません・・・、あれ・・・、」
「ん?思い出した?」
どこかでみたことある顔だと思ったら、小学校の時、一人ぼっちな私の
遊び相手をしてくれた青年だった、青年は「やっと会えたネ!」と笑う
「ここは何処・・・?現実?それとも幻想?」
「ここはヒストリア、現実だよ、君は呼ばれたんだ花恵」
「ヒス・・・、トリア・・・?嘘、ついに私はおかしくなって・・・、」
「可笑しくないよ、君は生まれてくる世界を間違えていたここが
正しい世界だよ、君のおかげで異世界に行けるのも楽しかったけどネ」
青年の手を引いて立ち上がると青年は歩き出す
慌てて青年についていき暫くすると町についた
町はにぎわっており外見的にはヨーロッパのオシャレな町だが
ところどころから聞こえてくる言葉は日本語だと思った
皆見た目は日本人じゃないのにおかしなの、と思いながらも青年について歩く
「ここはヒストリア、あそこに塔があるでしょ?あれは楽園の階段って
言われてて、あの中も国になってるんだ、もちろん人も住んでいる」
「楽園の階段・・・?」
「そ、塔の外、つまりここは下界って呼ばれてて塔の中は天界なんて
言われてるけど実際塔の中なんていい場所じゃないよ」
細道に入り青年は建物の中にはいるのでちょっと躊躇ったが
建物の中に入ると狭いがちゃんとしたダイニングで
青年の反対側に座ると、青年が机の上に写真を置く
「これは・・・?」
写真には私に似ている女性とセシリアに似ている女性が写っていた
瓜二つすぎて気持ち悪さを感じるが安心感もあった
「左がアフィリポア王国の女王ノスタージャ=アフィリポア
君の本当のお母さんだよ、そして右がイヴァラータ王国女王
セシリーア・イヴァラータ・・・、」
「セシリア?!」
「ん?え?そこに食らいつくの?」
青年は驚いたように目を開くが直ぐに細めて首をかしげる
セシリアが言う楽園ってこの世界の事だったのかと理解すると共に
どうして急に別世界へ・・・という不安感も産まれた
それに写真に写るセシリアは私の知ってるセシリアとは見た目が少し違う・・・、
セシリアは見た目だと13歳ぐらいの見た目だ、だが写真じゃ・・・、
20歳前半・・・、美しい・・・、艶美な女性に見える
「セシリーア女王に会ったことあるみたいだね」
「は・・・、はい・・・、貴方と同じで・・・、私にしか見えない友達・・・、」
「そっか、セシリーア女王は生きてたんだね・・・、」
そういう青年の瞳は安堵を表していたが海のような瞳を見ていると
溺れそうな感覚になった
prev&next
戻る