馬車が止まる振動で起きる
運転手が背伸びをしながら窓をコンコンと叩いた
慌てて窓から外を見ると大きな城門があり
馬車から降りると運転手が「アフィリポア王国だ」と言った

お礼を言って城門をくぐり抜ける


まず目を疑ったのは人外と人が平気で街を歩いていること
そして人外や魔物達はちゃんと言葉を話せる事
イヴァラータとは違う活気がそこにはあった
フードを深くかぶり広間らしき場所まで出る


「あ、あの」


同じ年ぐらいの少女が歩いていたので声をかけると
少女は緑と赤色のオッドアイであり赤色の目はどこか虚ろだった


「何?」
「わ、私、この国の王様に会いにイヴァラータから来たものですが
お城まではどう行けばいいのですか?」

「王様ぁ?この国に王様はいないけど?」
「い、いない?」

「あれ?知らない?今この国の王様は行方不明、噂では死んだとか
あるけど、でもあの父なる神から力を頂いた偉大なお方なんだ
私は生きてると信じてるけど、でも本当にいないみたい」

「そ、そうなんですか・・・、」

「それで、今は、ノスタージャ様の代わりに、家来のオレンド様が
国政をしているけど、噂じゃそのオレンド様がノスタージャ様を
殺したともいわれているよね、まあ、近々ノスタージャ様を探すらしいけど」


それも噂なんじゃ何を信じればいいのか分からないよね
と少女は言って歩いて行ってしまった


困った・・・、セシリアがこの世界にいるのならノスタージャもいると
思っていたがそうじゃないそうだ・・・、
立ち止まり続けるのもダメだと考え、近くのカフェに入る
ウェイターはワニのような人外だったが丁寧な言葉に腰も低く
オススメの紅茶とサンドイッチを注文する事にした


どうして急に過去へ飛ばされたのか、本当にここは過去なのか
本当に今年が水瓶年だとすれば、5年後にはセシリアの両親が毒殺される
そしてセシリアが女王になる・・・、私が産まれるよりもかなり昔に・・・、

両親が毒殺された一年後に革命を起こし女神が目覚める
そしてその一年後には・・・、あの悲劇の戦争がはじまる


紅茶を飲みサンドイッチ食べる、味はとても美味しく
人外達を見ても同じ物を食べている者がおり味覚も大体同じな事が分かった


問題は、この国に国王、ノスタージャが居ない事だった・・・、


「どうしたらいいの・・・、」


私の言葉は小さく誰にも届かない・・・、
この国が駄目ならメルクリース国王に行くしかないそう思い
先ほどの店員にメルクリース国への行き方を教えてもらうと
この国からでは丸二日かかるらしく交通手段は馬車と魔獣を使い空から行く
二つがあるが、馬車はレンタル料がすごく高く、魔獣は乗りこなす人
じゃないと厳しいという・・・、


今持っているお金なら馬車をレンタルできるが
メルクリース国についたら一文無しになる・・・、


とりあえずセシリアが紹介してくれた宿屋へ向かうと軍服をきた
三人が店主と話しており、話が終わらないかと後ろに立っていると
一人の軍人が気づきこちらを見る


「貴方様は・・・、」


男は綺麗な金髪に、赤色の目をしておりシュヴァリエ様に似ていた
しかし私の知っている国王のシュヴァリエ様やあの過去の記憶で
飛ばされ処刑台で見たシュヴァリエ様とは違い若く賢そうな青年だった
別人かもしれない、そう思ったが、他の軍人二人が「シュヴァリエ」と
名前を呼んだ


「ノスタージャ様・・・、」


シュヴァリエの言葉に目を見開いてしまう
そんなはずは・・・、


「え、何を言っているんですか?私は、ノスタージャ様じゃ」

「ああ、ノスタージャ様!探しましたよ!さあ城へ戻りましょう!」
「そうです、ノスタージャ様、城へお戻りを、シュヴァリエ、
オレンド様へ連絡を」

「分かりました」


そういってシュヴァリエは店の電話から何処かへと連絡を始める


「わ、私はノスタージャ様じゃないです!」
「いいえ、貴方は正真正銘、この国の王、ノスタージャ様です」


軍人達は私を馬車へと乗せ、私がいない間の出来事を話してくる


何が起きているのか分からなかった
シュヴァリエが馬車に乗り込むと馬車が動き出す


「本当に私は、違うんです!これには事情が、」
「シュヴァリエ、お前ならわかるだろう」
「はい、この魔力、少し別の魔力も混ざっていますが、間違いなく
ノスタージャ様の魔力です」

「これには、事情が・・・!」


誰も信じてくれない、どうしたらいいの・・・、
シュヴァリエ様も私の知っているシュヴァリエ様じゃない・・・、



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