「7回目〜!」

突然、それまでヨハンの膝の上で静かにしていたネーナが大声を上げながら振り返ってきた。
猫科によく似た琥珀色に輝く大きな眼を吊り上げて睨んでくる。
どんな人間も、怖いもの知らずのミハエルでさえ、この肉食獣のようなネーナの眼差しにたじろいでしまうが――――――――。

「なにが7回目なんだ?」

ヨハンは逆毛立った猫のようなネーナの頭を撫でながら金色に輝き出した瞳を見下ろす。

「ため息〜!」

撫でていた手を止めて、改めてネーナの顔を覗き込む。
ため息――――をした覚えはないが――――どう答えたらいいのかわからず、食いかかってくるようなネーナをヨハンは無言で見つめる。

「ヨハンにい、なんで、そんなにため息つくの!?」

「――――煩わせてしまったか?」
「違うの! そうじゃないの!」

すまないと謝るとネーナは益々まなじりを吊り上げてヨハンの腕の中で暴れ出した。

ため息

「もおっ! ヨハンにいの鈍感!!」



2013.10.2

title/休憩


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