十字夜/キョーカ


この空はきっと明けない
その果てはきっと紅

人が天啓と呼ぼうとした閃きが
やけに煌めいて暴走する
いや、それは正気の行為
可愛らしい神から託された
新たな言語で構築する世界は
少なくともハリボテではなく
平等にいざなう愛という罠

そこでは一体どんなドラマが展開される?
鋼鉄の皮膚の中に血流を感じて
詩人は暴力的な夢を貫く

ただ鎧を磨いていただけではない
その鏡面に映る戦いの姿を得て
お前が捨て去ったのは腐敗の心臓
消し炭になる瞬間を見届けた

そこに凱旋するつわものの一行
手には王女の首を引っ提げて
狂える獣王と成り果てた者は
哀れにも討伐される運命
血を吸った剣と熱を浴びた胸には
やがて次のさだめを動かす焔が灯った

「涙ヲ蒼空二還ス」
いつまでも幼子のままではいられない

"誰が語るのかそれを"
"誰を仕立て上げるのか神に"

我は六翼を駆りし夜
紡がれる時間を見守り
我が半身朝へと渡す者
永遠に続けることも出来よう
言葉をお前が持つならば
死んでいく昨日を弔える

時代とは禍が繋ぐ梯で
お前とは人へと続く階で
「今」というものが郭なら
心騒がす鍵となる

この空はきっと明けない
その果てはきっと紅
この星はきっと欠けない
その意味はきっと儚い

誰よりも遠くへ
引き際は素っ気なく


▼コメント

久しぶりに長めの詩を書いた気がします
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