白い闇/キョーカ


ああ、ただ寂しかっただけなんだ

長い長い冬が幕を開ける
雪虫の乱舞が遠退いた頃
吹き付ける風に気付かされて
待ち合わせ場所に向かう

遅れてしまった
急ぎたい気持ちを抑えて
雪道を慎重に歩いた

街を見守る時計の下
貴方は待っていた
その手の中の温くなった缶珈琲が
どれだけ私を待っていたのか
触れるだけで教えてくれる

「ごめん」「寒いね」

ふたり笑って手を繋いだ
普段そんなことはしないのに
はめている手袋を通して
伝わるものがあるはずなんだ

あんな2文字の言葉なんか
あんな5文字の言葉なんか
皆で言い尽くしたでしょう
だから私は黙って
貴方を知るだけでいい

白い闇に消えそうになった
あの涙も暑い季節も
追いかけたくなって少し笑った

太陽が熱を取り戻す時
まだ貴方といれたらいい
私たちはまた雑踏の一部になり
雪が孤独を掻き消して行く

大丈夫、
私たちは永遠などないと知っている



▼コメント

メンバーとして投稿するのはお久しぶりになります。
季節外れの詩を、追いかけたくなった暑い季節に投稿してみました。
関係ないですがタイトルはT.M.Revolutionの曲名からです。
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