詩への切り口/キョーカ
誰かの干乾びた想像の
向こう側にある閉鎖された廃屋を
好奇心に任せて覗き込めば
食事中の化物が顔目掛けて
フォーク突き出す
不思議とダメージは少ないが
これを躱せるか否かで変わる
無理難題気味の選択肢
それを
無垢な者だけが意味を知る
しかし邪心が頭をもたげて
詩作の邪魔をし始めた
見えない刃で躯を切り刻まれたなら
包帯の手枷でやさしく捕らえて
傷からしたたる宝石を受け止めよう
渦を作る赭い竜巻がうねり
雑多な感情を飲み込んで行く
開く瞳孔
幽霊列車が走る線路へ
自殺ダイブを誘発するのも
大脳新皮質の恩恵かそれとも
▼作者コメント
有刺鉄線が張られた塀を生身で乗り越えるようなもの