恍惚への反逆者/紗空子


可愛く鳴けば許してもらえるなんて
あの女の前では通用しない
だから大胆に腹を出して寝たふりをする
撫でにきた手を噛み千切りたいのに
抵抗もせず悪戯顔で笑ったまま

本当に調子が狂うんだあの女

油断した頃ふいに自慢の毛を洗われる
その恐怖を知ってしまったが最後
いつだって調子いいことを言いながら
水浸しの泡まみれにして
頭からお湯をぶっかけて尚笑っている
気づけば立てる爪さえ奪われている

あの女のニコニコが何より恐ろしい
そんなとき狂気ですらあって
捕まえて離してはくれないから

それでも終われば沢山魚をくれるから
我が儘でも渋々許してやるんだ
よく泣く女をたまには慰めてやるんだ
隠れると必ず名前を呼んで探しにくる
あの女が案外好きなんだ
そんな素振りは決して見せないけれど

抗うことなく一生僕に夢中であればいい
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